加藤のメモ的日記
DiaryINDEX|past|will
| 2015年03月18日(水) |
イスラム国が勢力拡大 |
米のイラク侵略が契機
国内外に衝撃を与えた過激武装組織「イスラム国」による人質事件。なぜこんな野蛮で無法な組織が中東で拡大したのか。大きなきっかけとなったのが米国主導のアフガニスタン・イラク戦争だった。このうちイラク戦争をみてみると…。
イラクとシリアの一部を軍事支配するイスラム国。その起源はヨルダン人の故ザルカウィの組織「タウヒードとジハード」(一神教と聖戦)である。同組織を有名にしたのは米政府自身だった。
”怪物”生みの親
国際テロ組織アルカイダによる2001年の9.11対米テロをイラク・フセイン政権打倒に結び付けようとしていたブッシュ政権。イラクの大量破壊兵器と並んで口実にしたのが「フセイン政権はアルカイダと結託している」という理由だった。その”根拠”に使われたのがザルカウィ派だ。2003年2月5日の国連安保理。イラクを侵略すべき理由を列挙したパウエル米国務長官は、「アルカイダと結託したザルカウィをフセイン政権はかかまっている」とし、「同政権とアルカイダの結びつきは大量破壊兵器開発より、はるかに不吉だ」と強調した。
ザルカウィは主にアフガンで活動し、イラクではよそ者にすぎなかった。しかし、べいこくによるイラク侵攻・占領強行は抵抗するイラクのスンニ派勢力の中で、ザルカウィ派の影響力を高める結果になった。同派とアルカイダの関係は開戦後に強まり、2004年秋には「イラクのアルカイダ」を名乗った。イラク侵攻がなければイスラム国という怪物は生まれなかったと広く指摘されている。
英国でも調査中
このイラク戦争に開戦前から支持を表明し、自衛隊を派遣したのが日本政府だった。安倍首相は昨年5月28日の衆院予算委で「大量破壊兵器がないと証明しなかったイラク」に開戦の責任があると答弁した。こんな理屈が通れば、米国が大量破壊兵器保有の嫌疑をかければ、どの国でも攻撃できることになる。テロ一掃で日本の役割を考える上でも、イラク戦争やアフガニスタン戦争の歴史的検証が不可欠である。
実際、米国はイラク戦争の検証を早期に実施し、政府のイラク調査グループは2004年10月、「開戦時にイラクは大量破壊兵器を持たず、開発計画さえなかった」とする報告を発表した。さらに上院情報特別委は2006年9月、「フセイン政権はアルカイダと無関係だった」とする報告を公表した。英国も2009年にイラク調査委員会を設置した。開戦当時のブレア首相ら150人以上から聞き取り調査し、5月の総選挙後に結論を発表する予定である。
『週刊朝日』2.15
|