加藤のメモ的日記
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| 2015年03月09日(月) |
イスラム国かウクライナか、ドイツの判断 |
米国の外交が迷走しているのと比較して、ドイツ外交が活性化している。米国にとって過激組織イスラム国が最大の敵であることは明白だ。イスラム国は欧米諸国だけでなく、ロシアも打倒の対象としている。しかし、イスラム国に対する闘いで、米国とロシアはまったく連携ができていない。それは、ウクライナ情勢をめぐって米国が対露強硬姿勢をとっているからだ。
2月10日、米国のオバマ大統領とロシアのプーチン大統領が電話会談した。〈ホワイトハウスによると、オバマ氏は停戦実現に向けた独仏やウクライナとの協議について、「この機会をつかむべきだ」と述べて、停戦実現に取り組むように求めた。/また、オバマ氏は「ロシアが親ロシア派勢力を支援するため部隊の派遣や武器供与、資金提供を続けるのであれば、ロシアのにとっての代償は、より高くつく」とも発言した。オバマ政権は、ウクライナへの武器供与を検討しており、ロシアが停戦を受け入れない場合は、武器供与や制裁の強化に踏み切る考えをプーチン氏に示唆したと見られる〉(2月11日、朝日新聞デジタル)
オバマ大統領はロシアに対して最後通牒的なアプローチをしている。プーチン大統領もロシア国民も、このような恫喝対抗に対しては忌避反応を示す。このような米国の対ロ外交とドイツは一戦を画している。オバマがプーチンに電話をする前日の2月9日、欧州連合(EU)はブリュッセルの外相理事会で新たにロシアの個人19人と9つの企業・団体を資産凍結や域内への渡航禁止の対象に加えることを決定した。ただし、〈11日で調整中の停電合意に向けた独仏、ロシア、ウクライナの四者会談の成り行きを見極めるため、16日まで発動を延期することに決めた。最優先されるべきは事態が改善することだ」と述べた。〉(2月10日、朝日新聞デジタル)対露制裁の延期については、ドイツがイニシアチブを発揮したと見られる。
11日夜(日本時間12日未明)ベラルーシの首都ミンスクで、プーチン大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領、ドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領による4カ国首脳会談が行なわれた。16時間の協議を経て停戦合意文書にロシア、ウクライナ、OSCE(欧州安保協力機構)、親露派の代表者が署名した。重要なのは、メルケル首相とオランド大統領が連携して、ウクライナ問題の鎮静化を本気で考えていることだ。その理由はイスラム国がヨーロッパを標的とした本格的なテロ戦争を開始したからだ。
1月7日〜9日、フランスで発生したイスラム国やイエメンのアルカイダを支持するイスラム原理主義過激派によるテロを封じ込めるためには、ロシアとの連携が不可欠と独仏両国寺は考えている。しかし、米国はウクライナに対する梃入れを止めず、イスラム国とロシアの正面対決に進もうとしている。今後、メルケル首相はロシアへの接近を強めることになる。
佐藤優の人間観察
『週刊現代』2.28
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