加藤のメモ的日記
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| 2015年03月10日(火) |
時代遅れの少年法を改正せよ |
18歳少年Aは懲役5年?
十代の少年たちによる凶悪犯罪が起きるたびに浮かび上がるのは、時代に対応されていないと言われる少年法の問題点である。今回の事件を受けて、各方面から「改正すべきだ」という声が上がり始めている。
少年法では20歳未満の者を「少年」と規定している。加害少年に対し、裁判の手続きや両家になどで様々な配慮が盛り込まれている。今回特に問題視されているのが同法61条だ。同条では、少年が事件を起こした時に報道機関が実名や顔写真を掲載することを禁じている。だが、現在のネット上では、加害少年らの氏名、顔写真、住所までが氾濫、拡散しており、規制は有名無実化している。少年事件に詳しいノンフィックション作家の藤井清次氏が語る。
「まさにネット住民たちによる『私刑』が行なわれています。少年法によって加害者情報が守られている面も、ネット住民の住民たちの歪んだ正義感を盛り上げるのでしょう。発生直後から、問題となった少年グループ内の逮捕されていない少年の名前や、事件に無関係なデマ情報が書き込まれるなど、深刻な事態に陥っています。61条で規定されている規制対象は、『新聞紙その他の出版物』であり、ネット上の規制には一切触れられていません。自体に即した法改正が必要です」
もう一つの論点は、「少年」の規定対象を20歳から18歳に引き下げるというものだ。現在、政府与党は選挙の投票権を18歳に引き下げる公職選挙法改正に向けて働いている。つまり、大人と子供の線引きを18歳で統一し、整合性をつけようという考え方だ」常磐大学大学院の諸橋栄治教授はこう語る。「先進国の中でも、少年法を20歳で区分している国は日本ぐらいです。国際的な基準から見ても年齢が高い。少年法で守られていることを知って犯行に及んでいるケースも多く、犯罪予防の観点からも引き下げは妥当です」
一方、「少年犯罪被害当事者の会」代表の武るり子氏は、法改正ばかりではなく運用の在り方にもっと目を向けて欲しいと訴える。「少年法は2000年以降、4度改正され、少しづ改善されています。しかし、いくら改正を重ねてもまだ被害者よりも加害少年を保護する向きが強いのが現実です。例えば2008年には少年審判でも被害者遺族が意見陳述をできるように改正されました。ただ、意見陳述の数時間後には審判が出るケースがほとんどで、審判に反映されているとはとても思えません」
前出の諸沢教授もこう指摘する。「少年法は厳罰化されていると思われがちですが、実際は加害少年に甘く運用されているのが現状です。家裁から検察に逆送致されても、地裁に起訴されずに再び家裁に戻されて保護処分になったり、刑事処分を受けたとしても執行猶予がつくケースが多い。今回の事件も、これまでの判例から考えると、懲役5年から10年の不定期刑という、罪の重さに比べれば軽い処分になる可能性が高いでしょう」
昨夏の佐世保女子高校生殺害事件では、加害少女は16歳の誕生日の2日前に凶行に及んだ。16歳以上の凶悪事件が原則逆送致されるのに対し、14歳、15歳はグレーゾーンと言われ、逆送致に消極的な姿勢が見られる。加害少女はこの点を意識して犯行に及んだのではないか、との指摘もあるのだ。「私たちは年齢だけで区切らずに、内容を踏まえて判断してほしいと訴え続けています」(前出・武氏)
今回の事件を受け、自民党の稲田政調会長が改正に前向きな発現をするなど、国会でも少年法改正に向けた動きが出始めている。早急な対応が求められている。
『週刊文春』3.12
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