加藤のメモ的日記
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2015年02月15日(日) 今週の遺言

衆議院で3分の2を握り、憲法改正を狙う安倍政権。本当の決戦は参院選だ。

やはり、公示後数日を経ずして。選挙は終わっていた。新聞各紙が報じたように、「自公圧勝」は変わらなかった。しかしどこかに、ひっかるものがある。自公(与党)圧勝というのだから、両党とも最低二ケタの議席を増やしたのかと思いたくなる。しかし、実際は一議席も増えていない。自民党に至っては、解散時より議席が減っている。その分公明党が増えて、実質はゼロ成長なのである。

一方、「民主伸びず」と言うが、実は逆風の中では11も増やしている。橋本代表が「負けた負けた」と言っている維新の党も、一つしか減らしていず、現状維持が正しい表現だろう。社民党も同様だ。惨敗したのは次世代の党だけが正しいと思う。「次世代」という党名をつけながら、党首の平沼氏が75歳。最高顧問の石原慎太郎氏が82歳では「旧世代の党」のミスプリントではないかと思われてしまう。公示前から惨敗は既成事実のようだった。

ボクはこのコラムで、日本のマスコミに対して、苦言を呈し続けて来た。とくに僕が住んでいるアングロサクソン系の国々であるカナダ、オーストラリア、ニュージーランドのそれと比べると、国を代表する言論の府としての矜持に欠ける。国民目線で報道するというより、いわゆる「永田町目線」になり下がっている。実際議席を減らしている自民党が「なぜ圧勝なの?」と子供に聞かれたら、親は何と答えたらよいのか。安倍総裁が目標を過半数のような低いところに置いたから、それを超えた結果を”大勝”としたのか?それならば例えば海江田代表が、目標は62議席と現状維持を口にしていたら、「民主大勝」になるのか。全く不合理な話である。こんな新聞しかないから、日本の民主主義は、いつまでたっても未成熟なのである。

安倍は経済をエサに、本当は憲法改正し、日本を戦争のできる国にしたいのである。池上はハッキリ「これで憲法改正を推し進めるのですね」と迫った。そして「そういうことです」と安倍に言わせた。それにしても安倍のハシャギぶり、高飛車ぶりは異常だ。

日本テレビのキャスター、村尾氏がアベノミクスを自画時関する安倍に、「そういう抽象的な表現でなく、数字で語ってほしい」と言った時など、明らかに色をなしていた。「あなたのように批判ばかりしているだけでは変わらないのだ」と本性を現わして言ったものだ。村尾は冷静に「これではこの道しかない」と言われても、安心して眠れない」と切り返した。

しかし状況を考えれば、あれ以上の準備を求めるのは酷だ。いずれは野党再編になるのだろうが、もし民主党がその中心になるのであれば現代民主主義政治に欠かせない「センターレフト」の線を守れる党にならなければなるまい。「自共対決」を謳った共産党の大躍進がハッキリ物語っている。次世代の党や渡辺好実の惨敗が、国民の声をこよなく物語っている。自民党の補完勢力なんていらないのだ。リベラルで働く人の味方である民主党になれば、国民は再び支持してくれる。本当の決戦は1年半後の参院選なのだから。

大橋巨泉


『週刊現代』1.3 


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