加藤のメモ的日記
DiaryINDEX|past|will
4月以降は、株価急落と値上げの嵐
自民党圧勝の日本経済は、家計にどのような影響を及ぼすのか。専門家たちが警笛を鳴らす。
「衆院選で自民党が圧勝したことで、これまでの安倍政権の経済政策は、基本的に継続されます。しかし、勝ち過ぎたことで、安倍首相の関心が経済から離れて、本来やりたかった集団的自衛権の行使のための憲法の解釈変更や、その先にある憲法改正などの政策へ移るのではないかという懸念があるのです」こう話すのは、第一生命経済研究所の熊野さん。今回の衆院選は自民党の圧勝で幕を閉じた。実は、「安倍自民党の圧勝が私たちの家計にとってマイナスになる」と、複数の経済の専門家たちが本紙に証言している。2015年には、負担が増大し家計への逆風が吹き荒れるというのだ。自民党の圧勝により家計の影響を予想した。
経済アナリストの森本卓郎氏は、‘15年の株価をこう予測する。「自民党の圧勝で、来年にかけて株が加上がるという人もいますが、私はそう思いません。アベノミクスにより、現在の平均株価は17000円台にまで上昇しました。しかし、4月には一気に下がり、15000円台まで下がるでしょう。前出の熊野さんもこう続ける。「株価は、来年の1月には2008年のリーマン・ショック後のピーク時と同じ、18000円くらいには上がるでしょう。しかし、すぐまた下落基調に入ることが予想されます。春以降は15000円くらいまでの水準で落ち着いてしまうことが考えられます。一方、円相場は安倍政権の円安誘導で、6月には1ドル=130円台に突入するでしょう。
秋には牛丼が500円に値上げ?
すでに1ドル=120円台に突入した円安の影響は、様々な形で商品の値上げに表れ負担増は始まっている。「2014年の秋から冬にかけて、吉野家の牛丼並丼が300円から380円へ、日清食品のカップヌードルが170円から180円へなど、値上げが相次いで発表されました。年が明けてからも、パスタソースやアイスクリーム、乳製品の値上げが決まっています。食品以外でも円安を理由に、2014年11月には食品ラップが10円から20円値上げされ、2015年1月出荷分のトイレットペーパーなどが約10%値上げされることも発表されました」(経済ジャーナリスト)
前出の熊野さんは、6月に1ドル=130円を突破すると予想しているが、円安進行による値上げは必至だ。「その影響が出始めるのは10月頃で、食品や日用品など輸入に頼る物品は、現在よりさらに10%近く値上げされることも予想されます。2015年の10月には各企業がもう一段の値上げを発表すると考えられます。牛丼の並盛が500円、即席カップめんが200円まで値上がることになるでしょうね」
森本さんも秋の再値上げについてこう指摘する。「全体では年間2%の物価上昇になると思いますが、牛丼や加工食品など原材料を輸入に頼るものは、軒並み値上げされるでしょう。2014年に円安が進んだために値上げされたものも、当然、再値上げが予想されます」5月には原発が再稼働される予定。発電のためのコストが下がり、電気料金も下がると、再稼働を促進する人達は主張しているが、「原発の耐震補強工事など安全対策費用は電力会社10社合計で総額2兆円になります。これらの費用は当然電気料金に反映されます。それ以外でも1基あたり500億円とされる老朽化した原発の廃炉のための費用が将来的に電気料金に上乗せされます」(森永さん)
結局は、電気料金は据え置かれたままになるという。たとえ物価が値上がりしても、私たちの賃金が物価と比例して上昇してくれれば問題ないのだが。森永さんは、2015年4月の春闘での給料のアップ率をこう見ている。「賃金の上昇は、とても2%の物価高に追いつけません。先ごろ、労働組合『連合』が来春の春闘では2%のベースアップを目指すと発表しました。今年の実績は1%の要求に対し、0.5%ほどの上昇でしたから、来年はよくて1%のベアを勝ち取れればいいほうではないでしょうか」
前出の熊野さんも見通しも明るくない。「物価は2%上昇していますが、自動車などの大手輸出関連企業を除いては、賃金はそこまで伸びないと思います。全体での伸び率は1%程度で、実質賃金は差し引き1%ほどのマイナス傾向が予想されます。夏のボーナスに期待したいところですが、アップするのはトヨタなどの円安で業績が伸びる大手輸出関連企業の実でしょう」7月のボーナスも、期待できるのは限られた人だけ。円安に支えられ、業績の良い輸出関連企業は賃金も上がっていくというが……。
「すべての人に円安の恩恵があるわけではありません。賃金の伸びは正規雇用でも1%ほどの伸びにとどまります。非正規雇用者となると、それすら厳しい情勢です。年収500万円の家庭で5万円収入がアップしても、10万円支出が増えると実質の年収は495万円とマイナスになってしまいます」(前出・経済ジャーナリスト)さらに年金で暮らしている人達にも、4月以降は厳しい現実が待ち構えている。「4月からの年金の実質受給額が0.5%引き下げられることが決まっています。本来は物価上昇にあわせ、支給額を1000円アップさせなければならないところを、500円アップで我慢してもらうということです。この実質的な年金引き下げの流れは、国の年金への支出を抑えるためにも、今後何年もずっと続くでしょうね」(森永さん)
経済評論家の荒川雄一さんは、安倍政権での”国の家計”の破綻を危惧する。「安倍政権は2017年まで、消費税を10%に上げることを延期しました。それまで、国の財政破たんのリスクに向き合わず、改善に積極的に取り組まないことも考えられます。2017年には、年金額の大幅カットなど、国の社会保障政策が根底から覆される事態に陥るかもしれません。国債の暴落などギリシャで起こったような事態が将来的に起きる可能性もあります。無責任に国が借金を重ねるツケは必ず回ってきます」自民圧勝で、家計への負担が始まる……。
『女性自身』12.30
|