加藤のメモ的日記
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| 2014年11月15日(土) |
机上の「戦争ごっこ」はよせ |
○ なぜすぐボロを出すような議員が閣僚クラスまで増えているのか。それは、小泉純一郎元首相の「小泉劇場」以来、劇場型選挙が当たり前になったことも一つの理由です。海外に留学したとかシンクタンク出身とか、経歴に横文字が入る人の当選確率が高くなりましたがそういう政治家は偏差値秀才で、頭はいいけどハートがない。良し悪しは別にして、日本の政治家はどこか義理人情で人間関係が構築されてきました。それがいっぺんになくなったのが、政治家の劣化を招いたと思います。
● 松島氏もそうですが、言葉に力のない政治家が増えましたね。政治家の劣化のもう一つの理由は、戦争を知らない世代が増えたことだと思います。彼らの安全保障論を聞いていると机上の「戦争ごっこ」のようなレベルの時がある。かっては戦争体験者が叱るのが自民党の安全保障論議だった。タカ派の若手や情勢議員が愛国心を声高に誇っても、軽薄に見えてしまう。
○ 結局、最近の政治家は保守を語るにしろ、長期的な展望や国家観を持っておらず、場当たり的なんです。高市早苗総務相、有村直子女性活相、山谷氏の三閣僚が靖国参拝したのも、国としての日中関係改善に向けた動きを無視したただの人気取りです。本人たちは勝手に「安倍総理の意図を汲んだ」と考えているかもしれませんが、それは安倍総理も同じ。この国を思っての「女性活躍」ではなく、あくまでも票稼ぎですから。
● 今の政治は、党内で論議が浅いんです。かっての梶山静六さんのような人がいない。梶山さんは、元特攻隊員の武闘派でした。しかし、日米安保や周辺事態法はやらないといけないけれど、一方で必ず「それを行使しないために何をすべきか」を議論する必要がある、とも語っていました。
○ 梶山さんといえば。「愛郷無限」と「激変緩和」がモットーでしたね。つまり党内でも対立があって当たり前、論議を盛んにしたうえでソフトランディングさせることが大事だと。対して、現在の安倍政権は、第一次に増して総理のお友達内閣になってしまい、辛うじて菅官房長官が重石になっている程度。さらに批判をそらすために女性閣僚を登用した結果が、この不祥事です。
● 安倍総理としては、早々に二人を辞任させ、一定の危機管理はしたつもりでしょう。ただ、問題は大臣辞任だけにとどまらないかもしれない。ボディブローのようにじわじわとダメージを与えると思います。
○ 党内でも、女性登用のワリをくった順番待ちの議員、とくにハト派の間で安倍批判がくすぶり、「次の総裁」をめぐる動きも活発になり始めています。
● 谷垣幹事長を擁立する動きですね。しかし、安倍総理が一人で突っ走る今、党内でバランスをとろうというのは、健全なことかもしれません。
○ やはり、この女性閣僚二人の辞職劇は安倍政権の根幹を揺るがしかねない。後に振り返った時、潮目を変える事件だったと評価されるでしょう。
○浅川ひろただ 1942生まれ 政治評論家 40年以上政治家の取材を行なう ●鈴木てつお 1958生まれ ジャーナリスト
『週刊現代』11.8
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