加藤のメモ的日記
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| 2014年11月16日(日) |
泥船から逃げ出す人々 |
閣僚が株取引を行なうこと自体に法的な問題はない。だが、彼らには取引によって得た利益を報告する義務がある。これは国の経済と国民の暮らしを左右しうる閣僚にとって当然のことだ。そうした自覚もなく、ずさんなカネの管理を恥じることもない人々が、急激な増税を進め国民に経済的負担を強いる安倍政権の一翼を担っているのだからちゃんちゃらおかしいというものである。これほどの疑惑が次々と噴出している以上、もはや次なる辞任が出るのは時間の問題だと思われる。3つ目のドミノが倒れた瞬間、今度こそ安倍政権は崩壊の連鎖に突っこんでゆくことになるだろう。
そして、その日は間もなくやってくる。政権の動揺を最も近くで目撃している自民党の議員たちが、泥船から逃げ出す準備を始めているのだ。「この一ヵ月ほど、夜の会合ではもっぱら『いつ安倍総理の体調は限界を迎えるのか』、そして『そうなったら誰につくか、誰を担ぐか』という話ばかりです。小渕さんの辞意を外遊の帰国途上で耳にした安倍総理は、東京に着いてからも顔色が悪く、夕食の時の酒にはほとんど口をつけませんでした。最近は会見でも呂律が回っていない時がある今、総理の体調と精神状態はこの2年間で最も最悪です」(前出 自民党中堅議員)
改めて指摘するまでもなく、第一次安倍政権は閣僚の相次ぐ辞任と、それに伴う安倍総理の体調不良によってあっけなく幕を閉じた。今自民党内では「最近の総理の表情は、第一次政権の末期によく似ている」(冒頭のベテラン議員)という声さえ聞こえ、いよいよ本当に「終わり」が近づいているのだというムードが支配的になりつつある。政治ジャーナリストの野上氏が言う。「拉致問題は成果が出ない、アベノミクスに打つ手がないとすれば、ここから先は政権にとっていい話が一つもない。これまでのような支持率政治は早晩破綻することになります。
しかも、12月には消費税再増税の決断が否応なく待ち受けている。それを花道にして、体調が思わしくない安倍総理が退き、例えば居抜きで麻生太郎元総理がポスト安倍を狙うという可能性も、論理的には充分にあり得るのです」閣僚の相つく不祥事で、潮目は確実に変わった。安倍長期政権がただの夢でしかなかったと、すでに誰もが気付いた以上、間もなく政界は大動乱の時を迎えるのだ。
『週刊現代』11.8
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