加藤のメモ的日記
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| 2014年08月26日(火) |
現実に目をつむる朝日 |
朝日は「そもそも海外メディアが、首相をタカ派と取り上げるケースも少なくなく、安倍政権の安全保障政策に携わる有識者の一人は『本当に問題だ。靖国参拝に続くミスだ』と強い懸念を示した」とも強調する。だが、タカ派は中国共産党と習近平国家主席ではないのか。彼らのあくなき軍拡と南シナ海、東シナ海での現実の行動を見れば、本当に問題なのは中国ではないのか。朝日はなぜ、現実を現実のとおりに見ないのか。
朝日は海外メディアが首相をタカ派と捉えていると、首相に批判の矛先を向けるが、そのイメージは朝日主導で形成されたのもではないかの。先に成立した特定秘密保護法について、昨年8月から今年1月末までに、朝日は反対の社説を26本、天声人語子は10本のコラムを書いた。だが、内容は次のようにほとんど的外れである。「米軍基地や原子力発電所などに関わる情報を得ようと誰かと話し合っただけでも、一般市民が処罰されなねない」(2013年11月8日、社説)
「普通の市民の暮らしをめぐる調査活動も違憲となりかねない。法案そのものが社会を委縮させてしまう」(同月6日 社説)天声人語子が社説に輪をかけてあおる。「秘密法に、暗がりからじっと見られているような社会はご免被りたい」(12月11日)「戦前の日本に逆戻りすることはないのか。心配が杞憂に終わる保証はない」「安倍政権の野望が成就すれば、平和国家という戦後体制(レジーム)は終わる」
日本と多くの価値観を共有する欧米諸国も有する、情報機密法を日本が持ったからといって、どうして日本が戦後に逆戻りし、平和国家としてのあり方が問われるのか。噴飯ものである。そして、2月2日、「天声人語」は首相の「靖国参拝は信念による行動だったとしても、結果はどうか」と問うた。「政治は結果に対して責任を持つべし」というマックス・ウェーバーの言葉を念頭に置いた、朝日人子が好んで用いる責任倫理の考え方である。
すべて靖国神社を参拝した首相が悪いというわけだが、それなら朝日に問うてみたい。いわゆるA級戦犯の合祀後、歴代首相が21回も靖国神社を参拝しその間、中国も韓国も日本と比較的良好な関係を保っていたことをどう考えるのか、と。中国は1985年9月、明らかに国内の変化までも日本が負うべきと朝日は言うのだろうか。また、一体、どこを起点に日中関係悪化を分析するのか。
そうした考察を含まない朝日の観念論は、読者の判断を誤らしめ、結果として日本の進路をも誤らしめる。いま日本にとって大事なことは、日本が自力で国民、国家を守れる国を目指し、同時に日米同盟を確かなものとすることだ。そのために、何よりも朝日が否定する事柄をやり遂げること、安倍首相が揺るがずに前進し続けることが大事である。
『産経新聞』 櫻井よしこ
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