加藤のメモ的日記
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2013年11月21日(木) スマホ戦争

生き残るのはどこだ

一人が1台のモバイルを持つ時代だ。中でも現在、最高の人気を誇るスマートフォン・アイフォンを巡り、三つ巴の決戦が始まった。ドコモ、KDDI、ソフトバンク。次世代の覇権はどの企業が握るのか。


「驚きました。最近、携帯電話をアップルのアイフォンに変えようと都内の家電量販店に行ったのですが、機種代はなんと『0円』だと。しかも、購入と同時に2万円のキャッシュバックがあるというのです。買い物をしてお金をもらえるなんて、不思議な気がしました」(サラリーマン・35歳)こんな常識外れのサービスで顧客の囲い込みをするすさまじいビジネスがある。それが「スマホ(スマートフォン)」戦争だ。

9月20日、日本国内で、米アップル社の人気機種の最新型『アイホン5S/5C』が発売された。アイホンは世界市場でも人気だが、特に日本での人気が圧倒的。全スマホの中で36%のシェアを占め、他の追随を許さない。その新機種となれば注目が集まるのは当然だが、今回は異変があった。これまで参入が遅れていたNTTドコモが、ついにアイフォンの販売を開始したのだ。

これまでドコモは「ガリバー」といわれながら、実態は国内携帯市場におけるシェアの低下に苦しんでいた。2008年、ソフトバンクがアイファンの販売を開始して以来、ソフトバンクが同年6月の18.6%から今年6月には25%にまでシェアを伸ばしたのに対し、ドコモは52%から46%に低下。この間、AU(KDDI)のシェアはほぼ横ばいなことから、ドコモの顧客がソフトバンクに流れた可能性が高い。

シェアを失えば負ける

なぜ3社はアイフォンの販売にこれほど血道を上げているのか。理由は、今ここでシェアを確保しなければ、将来的にそれぞれの存亡に関わる危機を招きかねないからである。「世界的に通信インフラの統廃合が進む中、3社のような携帯キャリア各社は、どれほど契約者がいるか、シェアをどう広げるかで将来性が決まる。『代金0円』などがまかり通るのはそのため。実際には、端末代は2年かけて通話料に上乗せされる仕組みですが、別の割引サービスなどを加えると実質負担ゼロということになり、キャリアの収入になるのは微々たるもの。それでも、シェアを落とすよりははるかにマシなので、あの手この手で客引きをしているのが現状なのです」(前出・アナリスト)

激しい攻防戦が功を奏したのか、KDDIの田中社長によれば、「幸いにもドコモ、ソフトバンクから、契約者の転入が続いている」と語った。一方で、ソフトバンクの孫社長は「雪崩を打ってドコモに逃げていくようなことはなかった」と話している。両トップの言葉通りなら、3社のアイフォン戦争の緒戦はかなりの大混戦になっているようだ。こうなると、一般ユーザーから見てわかりにくいのは、「どこのアイフォンがお得なのか」ということ。基本的に製品は全て同じ。そうなると、各種サービスや割引の差になってくるが、その差も微妙だ。

例えば「本来」の端末価格は、アイフォン5Sの16GBモデルだと、ソフトバンクとauでは、68.0040円。一方でドコモは95760円になっており、それだけ見るとドコモだけがかなり割高に見える。しかし、実際には前出のように、3社とも割引サービスで端末負担は実質ゼロのため、それほど気にする必要はない。例外として、2年以内に契約を解消した場合には、端末代を精算することになるので、その場合にはドコモは割高ということになる。

孫社長の狙い

一方、ソフトバンクは繋がりやすさなどの面で最近大幅な改善があったとされ、孫社長もそれを盛んに強調しているが、ドコモの攻勢で、最も割を食うのはソフトバンクだといわれている。携帯・スマートフォンジャーナリストの石川氏はこう語る。「KDDIはプラチナバンドが評価されて比較的好調ですが、ソフトバンクは従来機種の時と変化がなく、苦戦しています。これまではアイフォンを武器にユーザーを集めてきましたが、ドコモも扱うようになったことで、むしろ今度はユーザーに逃げられる側に立つ可能性があります」

それでも家電量販店を中心とした調査では、新型アイフォン発売直後3日間の販売台数シェアで、ソフトバンクが首位になり、45%。次いでドコモが28%、auが27%と面目は保ったが……。「孫社長は、これから日本だけで戦うという意識はないでしょう。アイフォンを発売してから5年、営業利益は1兆円規模になりドコモを凌駕しましたが、シェアでドコモを逆転するには至らなかった。ユーザー数でドコモに負けたままなのが、孫社長は相当に面白くないようです。だとすれば米国のスプリントを買収したこともあり、まだ伸びしろがある米国が主戦場と考えるのは自然な流れです」(前で・石川氏)

つまり、アイフォンによって国内での基盤をいよいよ強化しようというドコモに対し、世界に打って出て拡大成長路線を狙うのがソフトバンクということだ。当然リスクはこれまで以上に高いが、こうした経営者の「視線」にも今後は注目していくべきかもしれない。機能もサービスも日進月歩で移り変わっていくのがスマートフォンだ。そのうえ、一般的な「ケータイ」からスマホへの以降が急速に進んでいるように、5年後、10年後には、まったく新しい端末機器が生まれている可能性が高いのも、この戦争の実態だ。安定感のドコモ、即時の利便性に勝るau、成長戦略に長けたソフトバンク。火ぶたは切って落とされた。


『週刊現代』10.19


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