加藤のメモ的日記
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渡辺一枝著『消されゆくチベット』は、ドンと呼ばれる野生のヤギを身に行く話から始まる。著者は1987年に初めてチベットを訪ねて以来、チベット人の生活習慣や自然に惹かれ、何度もチベットを個人旅行している60代後半の女性である。
中国は1950年代にチベットに侵攻して、翌年全土を制圧した。以来、虐殺事件を数々繰り返し、今なおチベットは中国のため、悲惨な状況に置かれている。著者はこうしたことを声高に避難していないが、それでもここのチベット人と親交を深める中で、中国が投げる重苦しい影に心を痛めずにいられない。ラサに住むチベット人とは親戚づきあい同様で、学資まで届けているだけに、チベット人の生活が手に取るようにわかる。他著にない本書の強みだろう。
『週刊現代』7.6
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