加藤のメモ的日記
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2013年06月09日(日) いまや「バカの壁」に

猪瀬直樹の”ペルソナ”を剥がす

橋下徹の一連の発言で一番得をしたのは猪瀬直樹東京都知事かもしれない。なにしろ国際オリンピック委員会(IOC)の倫理規定で禁じられているライバル都市(イスタンブール)の批判を「ニューヨークタイムズ」でペラペラしゃべり、五輪誘致活動にかかる75億円の血税をドブにぶち込んだ直後だったからだ。「イスラム教国が共有するのはアラー(神)だけで、互いにケンカしている」「若者が多くても若いうちに死んだら意味がない」

こうした発言により「世界のバカ」として羽ばたきかけた猪瀬だったが、上には上がいるというか、下には下がいるというか、橋下に先を越されてしまった。しかし、どこか似ているこの二人。問題を直視せずに逃げきろうとする姿勢も同じです。猪瀬は橋下騒動について「多くの女性の名誉や尊厳を傷つける問題になると認識している」と述べていたが「イスラムの名誉を傷つけたお前が言うな」という話。

5月30日のロシアでの招致プレゼンテーションでは下手な英語を駆使し、東京に潤沢な資金があることを勝ち誇ったような顔で説明していました。31日にはNHK「特報首都圏」のインタビュー中継で「日本人は今回全員英語でやりました。まあ、他都市のことは言えませんが(笑)」と他都市が英語以外でスピーチしたことを皮肉っていた。やっぱり何も反省していない。

当初、猪瀬は「真意が正しく伝わっていない」と通訳に失言の責任を押し付けましたが、担当エディターに反論され、一転して発言を謝罪した。しかし「どの線がIocの行動規範に触れるのか、勉強になった」「今回の件で、誰が味方か敵かよくわかったのは収穫でした」などと負け惜しみ。5月2日の定例会見では、トルコとは「世界史について語り合いたい」、失言については「終わった話に触れてもしょうがない」と強引にまとめた。「終わった話」って記事が出てまだ五日目でしょ。この会見では近代トルコの父ムスタファ・ケマルを「シャー」と呼ぶ失態まで見せている。ちなみにトルコにおける尊称は「パシャ」だ。

猪瀬のバカ発言は止まらない。5月22日の政府の産業競争力会議では「日本の標準時を二時間早めたらどうか」と語っていた。東京の金融市場を世界で一番早く開けることで、金融の拠点を日本に置く動きを促すという。普通に考えたら金融市場だけ二時間早く開ければいいだけのこと。どうして国民全体が一緒に早起きしなきゃならないの?地下鉄経営一元化を唱える猪瀬は事あるごとに九段下駅の都営線と東京メトロのホーム間の壁を撤去したことを自画自賛する。猪瀬はこれを「バカの壁」と呼んだが、今や本人が「バカの壁」として東京に君臨するようになった。

ところで昨年の都知事選の猪瀬のポスター覚えてますか?いつもは赤ら顔なのに、なぜかつるつるすべすべの十代の肌。CGなのか化粧なのか。そんな”ペルソナ”を一枚剥がしてみれば、以外とシンプルなバカなのかもしれません。


『週刊文春』 6.13


加藤  |MAIL