加藤のメモ的日記
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2013年03月12日(火) 除染利権はゼネコンが独占

危険手当もゼネコンがピンハネ

一次下請けの幹部が証言したところによると、環境省から作業員一人に一日、21.700円が出ている。それを大手ゼネコンが2000円から3000円ピンハネし、年間36億円から54億円もの不当な利益を得ている。それがさらに一次下請けから四次下請けにまで流れ、最終的に現場労働者には11.000円しか支給されないケースがある。

手抜き除染、危険手当や賃金のピンハネがだ追い問題になっている国直轄の除染事業。その裏で、同事業を独占受注している元請けの大手ゼネコンが、巨額の不当利益を得ている疑いが、複数の建設業者などの証言で明らかになった。その手口と実態は…。

「除染作業員に国から一日、1万円の危険手当が出ているなんて知らなかった。元請けからも聞いていない」そう話すのは、福島県内の国直轄除染事業で働く末端の下請け会社社長である。放射線量が高い福島県内の「除染特別地域」では環境省が直轄事業として、除染事業を発注している。予算額は来年度分を含め約6540億円。今後、数兆円ともされる額が投入される。実際に行なわれているのは大手ゼネコンへの丸投げである。その結果、ピンハネ構造が生まれている。

国が決めた除染作業員の一日当たりの手当や労務費は、21.700円。ところが前出の社長によると、現場では11.000円程度しか作業員にい払われていない。危険手当さえピンハネされている。作業は元請けから1次〜4次下請け、さらにその下の施工体制台帳に載らない”幽霊下請け”に順次丸投げされる。もっとも責任の大きいのはピンハネ構造の頂点にいる元請けゼネコンである。危険手当も現場作業員に全額支払うよう国から支持されている。しかし、1次下請け幹部の証言によると、元請けゼネコンは1作業員あたり2000円から3000円、年間数10億円も抜いているという。その実態は。

1次下請け幹部は証言する。「元請けゼネコンが言ってきたのは、1作業員あたり2万円弱から19000円前後。役所が決めた額から2000〜3000円を抜いている」除染作業は、ダムやトンネルなどと違い、工事費の大半を占めるのは作業員の人件費である。本格除染の発注は現在、国直轄対象11市町村中、4市町村にすぎないが、それでもピーク時で1日5000人近くの作業員が必要といわれる。福島建設業協会は「除染作業が本格的に始まれば1日当たり1万人」が必要とみている。仮に1日1万人とすると、元請けゼネコン側に転がり込む差益の総額は、1日当たり2000万円から3000万円。1年間(9か月)で36億円から54億円にのほる計算である。

前出の1次下請け幹部は「元請けは利益を二重取りしている」と批判する。「元請けは役所から本社経費や利益分も出してもらっている。にもかかわらず危険手当や労務費から抜くのは”不当”利益だ。環境省の発注の問題もある。危険手当を支払えといいながら、大手ゼネコンに発注する際には、危険手当や労務費などを分けず、工事費の中に含め、分からないようになっている。

建設政策研究所理事長の辻村さんは「危険手当は一般的な公共工事にはない特殊な手当てなので、発注の際には別枠で明示する必要がある。労働者への賃金支払いについても、一部の地方が行なっているように、発注の際の設計労務単価を下回らないように元請けゼネコンを指導すべきだ」

元請けは大手ゼネコンばかり 鹿島、大成、大林…

国直轄の除染事業は、当初から大手ゼネコンに丸投げされてきた。発注済みの額だけでも450億円を超えている。最初の事業は内閣府発注の「除染モデル実証事業」。同事業は高速増殖炉もんじゅの研究・開発に固執する「日本原子力研究開発機構」に丸投げされた。同機構はそれを、大手ゼネコンの大成建設や鹿島建設、大林組がそれぞれ幹事社の3共同事業体(JV)に発注した。モデル事業の後に行なわれた先行除染や本格除染の受注企業を調べてみると、モデル事業を受注した大手ゼネコンをはじめとするJVの構成企業が受注している。

作業員から相談が続々

昨年11月から今年1月にかけて、除染作業員からの相談が計8件あった。いずれも除染の危険手当が支払われない、雇用保険、社会保険の未加入などの無権利状態を改善してほしいというものだった。危険手当のピンハネが問題になり、労働基準監督署が会社を指導した後も、賃金総額を変えずに1万円を危険手当に付け替えるやり口が横行している。

相談のあった会社はバラバラなのに、労働基準監督署の指導後、それぞれが付け替えをして、作業員の手取りが足並みを揃えたように「15.500えん」とされたのも不可解である。「請負単価からして、これ以上の賃金は出せない」と回答している会社もある。重層下請構造の中で、賃金の中抜きが横行しているが、そもそも元請けゼネコン段階でピンハネが行なわれているとすれば言語道断である。元請けゼネコンの責任とともに、こうした状況を横行させている発注者である環境省、厚生労働省や労働基準監督署など行政の責任はとても重い。



『週刊新潮』


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