加藤のメモ的日記
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| 2013年02月13日(水) |
溜まる使用済み核燃料 |
万年単位の危険 処理技術なし
福島第2原発のような100万kw級の原発を1年間運転すると、使用済み核燃料がおよそ30トン発生する。使用済み燃料には、ウラン35の核分裂でできた死の灰と、ウラン238からできたプルトニウムなどが含まれている。これらは放射線がきわめて強く、半減期が万年単位と長いものも含まれ、極めて危険な物質である。人間の環境から長期間にわたって隔離しなけれなならない。
現在これを安全に処分する技術が未熟なために、原発は「トイレなきマンション」といわれている。原発内で長期にわたって水で冷却しながら貯蔵しているので、常に地震と津波の危険にも晒されている。政府や電力会社は「原発は安上がり」と印象づけてきたが、放射能の最終処分の費用をコストにほとんど反映していない。これには巨額の費用がかかる。将来の社会で私たちの子孫が、何の価値も生まない放射能の処分に多額の費用を支出するような事態は避けるべきである。処分体制もないのに、使用済み核燃料を増やすことは無謀である。
立命館大学教授 安斉育郎
再処理工場 国内外で事故
原発にたまる一方の使用済み核燃料をどう処理するか。歴代政府の対策の重要な柱が、青森県六カ所村にある日本原燃の再処理工場である。同工場では、使用済み核燃料を破断して溶かし、プルトニウムとウラン、残りカスである死の灰と分ける。その工程で放射能が施設外に排出される。2006年には使用済み燃料を用いる試験を始めたが、放射能漏れなどの事故が続発し、いまだに本格稼働できていない。茨城県の研究用再処理工場でも、1997年3月11日に火災、爆発事故が発生し作業員37人が被曝し、放射能が隣接する大洗町、つくば市でも検出された。
英国の海汚染
世界でも再処理施設での事故や、放射能汚染が起きている。過去最悪の放射能による海洋汚染を起こしたのが、アイリッシュ海に面した英国セラフィールド再処理施設だった。1969年ごろから、ストロンチウムなどを垂れ流し、海底の土や海藻などの汚染が進行した。1983年にも160兆ベクレルもの放射能の汚染水を放出し、大問題になった。2005年4月にも、同施設の新鋭再処理施設で、高レベル放射能溶解液が漏出する重大事故が発生した。配管の接続部が金属疲労により破損したためである。
再処理は完成した技術とはいえず、施設での重大事故がこれまでに世界で20件余も報告されているほど危険である。再処理技術が確立されていないため、原発が廃炉になっても、使用済み核燃料は、安全に保管し続けなければならない。これが原発の現実である。
危うさは原発以上
使用済み核燃料の再処理技術は未熟で、原発以上に危険をはらんでいる。日本の再処理工場では、使用済み核燃料の処理で、フィルターなどで除去できないガス状の放射能「クリプトン85」が全量、排気塔から環境に出てくる構造になっている。今福島第一原発の放射能放出が大問題になっているが、再処理工場では通常の工程で放射能が排出されているのである。
再処理はもともと米国で、核兵器用プルトニウムを生産するために始まった。それで危険な大事故が日本やロシアや英国などで続発した。青森県の六ヶ所再処理工場は1993年の着工以来、建設投資が2兆円を超えたが、17年経過した現在も本格操業に至らず、高レベルの放射能廃液処理も中断している。放射能を最終処分する処分候補地さえ定まっていない。今こそ未熟なプルトニウム利用のための再処理路線を断念する時である。
元原子力研究員 市川冨士夫
原子力発電所の使用済み燃料の貯蔵量(2010年9月)
発電所 貯蔵量(トン) 貯蔵率(%) 北海道電力 泊 350 35 東北電力 女川 390 49 東通 60 26
東京電力 福島第一 1820 87 福島第二 1130 83 柏崎刈羽 2210 76
中部電力 浜岡 1090 63 関西電力 美浜 360 53 高浜 1160 67
九州電力 玄海 760 71 川内 850 66
『週刊朝日』
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