加藤のメモ的日記
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2013年02月09日(土) 生活保護基準額 ドイツは増額

自民・公明政権の復活で、自民公約の生活保護の給付水準の10%引き下げが浮上する危険がある。しかし、同じ先進国のドイツでは、逆に生活保護の基準を引き上げた。ドイツの生活保護制度で最も多いのは、15〜64歳で働ける人が対象の最低生活保障である。2005年から行なわれている今の制度で、人口が日本の3分の2のドイツで約600万人が受給しており、ずっと受けられる。対して日本の生活保護受給者は、213万人。

ドイツはそれでも生活保護の基準額が低いとして、受給者が裁判に訴えた。ドイツでは、専門分野ごとに裁判所が分かれている.州の社会裁判所などは、基準額の決め方が憲法に違反すると判断し、連邦憲法裁判所に移送した。 そして、2010年2月、憲法裁判所は基準額の決め方に問題があるとして、基準額全体を違憲と判断した。これを受け、政府は基準額の決め方を変えた。世帯主の基準額は、2005年の毎月345ユーロから、徐々に引き上げ2013年には10%以上に引き上げた。

ドイツの場合、暖房費などの電気代は別に支給される。ドイツの場合、生活の仕方自体が日本と違う。コンサートなどの文化関係の費用が安いことと、肉がキロ単位で売っていることなど、生活物資が日本と比べかなり安くなっており、日本と単純に比べられない。

憲法裁判の判決は、人間の尊厳が憲法の権利

ドイツの以前の基準額は、所得が下位20%の単身者と比べて決めている。憲法裁が一番問題にしたのはその中に、所得の低い生活保護を受けている世帯を含めていたことである。基準額を決めるのに、現に生活保護を受けている人と比べるのはおかしいというものである。政府は、この判決の指摘を基本的に受け入れた。さらに単身者世帯と家族世帯に分け、単身者は所得の下位15%、家族は下位20%を比べることになっている。日本では、比較の対象を一番下にして、保護費が高いといっているのだから、ずいぶん違う。ドイツでは、こうした見直しを行なった結果、基準額上がったのでである。

新基準の違憲か

その後、新しい基準額に対しても訴訟が起こされている。ベルリンの社会裁判所は、新しい基準額の決め方も憲法違反の恐れがあるとして、憲法裁に移送した。生活保護を受けることができるのに利用していない世帯や、特別に安い学生食堂で食事する学生などを比較対象から外すべきだと主張している。さらに、低賃金労働者が増えるなかで、それを理由に基準額を下げてはいけない、と判断している。憲法裁の判決はまだ出されていない。

日本国憲法では

憲法裁の判決で非常に重要なのは、最低生活保障をドイツ憲法に基づく権利と明確に決めたことである。基本法1条1項の人間の尊厳と、同20条1項の社会国家の規定から、人間祖尊厳に値する生活を求める権利が直ちに出てくるとした。今までになかったことで画期的である。

一方、日本では、憲法25条で国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を明記している。ところが自民党は、給付水準の10
引き下げを主張している。これは、現在受給している人を含め、10%切り下げた生活を強いるものである。生活に困っている人が生活保護を受けることをさらに難しくしている。そして、生活保護を引き下げることだけではなく、本当の狙いは最低賃金や、年金を抑え込んだり引き下げることだと思う。貧富と格差の広がる拡大が深刻なのに、基準を下げることでそれをないがしろにしてしまうとは、ひどい内容だと思う。

大阪市立大学院教授 木下秀雄


『赤旗』12.23


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