加藤のメモ的日記
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| 2013年01月23日(水) |
1ドル100円で大儲けする会社 |
「例えばトヨタは為替が10円円安になると350億円も営業利益が膨らむ。ホンダや日産も100億円規模で財務が改善するので、円安が進むだけで大きく利益が押し上げられます。そのインパクトは大きい。今後は生産工場の海外移転に歯止めがかかり、下請け企業に対する値引き要請もなくなるでしょう。そうなれば裾野まで円安の恩恵が広がり、自動車業界全体で業績回復の連鎖が起きる可能性が出てきました」(フリージャーナリスト)
アジア勢にやられっぱなしで、昨年は巨額赤字を計上した電機メーカーも復活の道が見えてくる。経済評論家の長田氏が言う。「今までは韓国勢がウォン安を利用して安い価格の製品を世界で売りまくっていたが、これがもう通用しなくなる。日本勢のきめ細やかな製品力、ブランド力が際立ち海外で再評価されだすでしょう。パナソニックは得意の白物家電の売り上げが上がるだろうし、ソニーのテレビもインドなど新興国での巻き返しが期待できる。シャープも世界で同社しか量産できない最新鋭液晶『イグゾー』を各国メーカーに売り込む大きな足がかりを手に入れる。受注増の弾みとなるでしょう」
銀行・証券、不動産が活気づく
トップ10入りしたキャノン、日立、コマツ、三菱商事、ファナックは円高下でもグローバル競争を勝ち抜き、好業績を叩きだす企業。今まで以上の大躍進が期待できるという。「ファナックは外国企業に真似できない圧倒的なロボット技術力を持ち、円安になればそれに比例して利益が上がっていく。コマツもライバルの米キャタピラーに対する競争力が増す。商品力の強さが光るキャノンにも円安はものすごい追い風。こうした企業がこれからの日本経済を牽引する中心企業に成長していくでしょう」(鈴木氏)
ベスト100行を仔細に見ると、野村HDを筆頭にメガバンク3行、三菱地所や三井不動産などのデベロッパーといった金融・不動産が多くの票を集めている。海外進出が難しく、少子化時代にジリ貧を余儀なくされるといわれる業界だが、なぜ円安で伸びるのか。証券アナリストの植木氏が言う。「円安が進むのと並行して、企業業績が好転するので、日本株も復活していく。また1ドル100円になると消費者物価も2%ほど上昇し、これがさらに株高を演出、同時にデフレ脱却によって地価の底入れも鮮明になってきて住宅販売も増加します。そして、株や不動産を持つ企業はこれを担保に銀行から融資を拡大させる。おのずと証券、銀行は沸き、不動産は活気づく。それがまた企業の懐を潤す好循環の始まりになる。まさにバブル景気がやってくるのです」
円安なら中国を攻略できる
同じく内需系といわれる小売業界は、円安で中国進出に弾みがつく。「セブン&アイ・HD傘下のイトーヨーカ堂は1990年代に四川省に進出し、今では中国で高級百貨店のようになっている。ジャスコを運営するイオン、ユニクロを展開するファーストりテーディングもすでに中国市場に食い込んでいる。昨年は反日デモの影響を受けたが、今後の円安下では中国を攻略するというぶれない経営姿勢が効いてくる。円安になればブランド力に価格競争が加わり、大幅な伸びが期待できるからです」
自動車、電機、金融、不動産、小売りと、幅広く恵みの雨を降らすところに「円安経済」の凄味がある。しかも、今後は安倍政権による「200兆円規模」といわれる公共投資、企業の研究開発や設備投資を後押しする減税措置、企業活動の障壁となる規制の緩和など、大盤振る舞いの企業活動重視政策が立て続けに実行される。このような円安効果と合わせて、ダブルで得する企業が続々と出てくる。
「たとえば太平洋セメントと日野自動車。両者ともにアジアなど海外展開に積極的なので、円安効果を享受できる。さらに安倍政権の緊急経済対策では、老朽化した道路などの補修工事に加え、本格的な震災復興に取り組むので、膨大なセメント、トラック需要が発生する。収益の上ブレは必至。日野自動車は二桁営業増加益と、過去最高益更新の基調が続くでしょう」(経済アナリスト)新日鉄住金やJFE HDが多くの票を集めるのも、同じように「二度おいしい」企業だからである。
円高に苦しむ企業がリストラに走り、汗水たらして働く絵労働者の賃金が下げられていく。国際競争力を失った企業からバタバタと倒産し、日本経済全体が沈んでいく。そんな円高・デフレ経済の悪循環から、ついに解き放たれる日が来たのだ。日本経済は今こそ顔を上げ、前を向くべきだろう。
『週刊現代』1.26
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