加藤のメモ的日記
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我々はどこから来たのか
そもそも人類はどのようにしてこの地球上に登場したのか。この謎に一応の終止符を打ったのが、ダーウィンが1859年に発表した「進化論」である。それによると人類は、原始生物が自然淘汰と突然変異を繰り返した結果、生まれたものだという。平たくいえば、海中の微生物が進化して魚類になり、陸に上がって両生類となり、爬虫類となり、哺乳類となり、そしてサルが人間へと進化したというわけだ。
この論は発表された当時から角界に衝撃を与え、そして数多くの批判を浴びてきた。人間の祖先がサルであるということが、当時の人々にはどうしても理解されなかったのだ。しかし、およそ一世紀半を経た現在でも、進化論に代わる有力な説は登場せず、これが人類の起源を語る主流となっている。ところが、この進化論ではどうしても説明のつかない大きな謎がある。
進化論の大前提は、環境適応である。つまり、生物は周辺の環境の中で生き残るためには、必要に迫られて進化していったということだ。例えば木の上になる実を取るために、キリンは首が長くなりサルは強く器用な手を持つに至ったというわけである。だが、人間にはどうしてもその延長線上には乗らないもの、環境適応上不必要と思われるものが備わっている。すなわち、脳である。人間の脳は、他の哺乳類と比較すると異常なまでに大きい。人間の脳が全体重のおよそ45分の1を占めるのに対し、イルカは100分の1、ゴリラは200分の1、チンパンジーでも75分の1である。しかも、その脳のうち、実際に人間が活用しているのは、わずか5分の1に過ぎないといわれている。つまり、残りの5分の4に関しては、いわば意味もなく人間の頭に載っているということになる。
これを「脳の爆発」というが、なぜ人間の脳だけが進化論を無視するように、こうして突然に巨大化したのか。進化論にそぐわないとすれば、人間はどこから現れたのか、いまだに謎のままである。このことは、ダーウィンにとっても頭痛の種だった。また、ダーウィンと同時期にやはり同様の進化論を提唱した生物学者、アルフレッド・ウォーレスも、この異常な進化を説明することができなかった。彼はこれについて、「神の意志としか考えられない」と語り、ダーウィンをひどく落胆させたといわれている。この難問に対して、ダーウィンよりはるか昔に明確な回答を打ち出しているのが、神話である。どの民族の神話・伝説でも、人類の起源に関するくだりがないものはない。そしてその回答は、常に一つである。すなわち、ウォーレスが指摘した通り、「神の意志」である。
人類が不可解な「脳の爆発」を起こし、今日の人間の直接の祖先となったのは、遅くとも紀元前200万年頃だったといわれている。ということは、氏の説に従えばアダムもイブも決して最初の人類ではなかったことになる。とはいえ、エデンの園が場所も時代も現実に限定できるものだとすれば、物語の内容についても、何らかの歴史的事実が隠されているとは考えられないだろうか。もちろん、「神が土から人間をつくった」ということを鵜呑みにすることはできないが、もしかすると、それに似たような事件、人類誕生に関する神秘的な出来事があったのかもしれない。進化論では人類の起源を説明できないこと自体が、その可能性をより高めているといえるだろう。
かくして肌の違いが生まれた
さらに人類創世の神話は、人間の起源に関するもう一つの大きな謎にも、果敢に回答を用意している。すなわち、どうして肌の色の違う人種が存在しているのか、ということだ。進化論によれば、それはそれぞれの地域の環境下で、それぞれに適した身体に進化した結果、といことになるが、だが、これだけでは説明がつかない。一般的に、赤道に近い住民ほどその肌は黒く、両極点に近いほど白い。我々はこれを当たり前のように思っているが、よく考えてみると、ここには大きな矛盾がある。
赤道直下の強い日差しという環境下で、その直撃を少しでも避けるには、肌は白いほうが適しているはずである。逆に太陽光の不足している極点付近で、より多くの熱を吸収するためには、肌は黒いほうがいいだろう。つまり肌の色の違いによる人口の分布は、環境適応と自然淘汰という進化論の大前提に真っ向から反しているのである。実はこの謎の科学的な究明は今日に至ってもあまり進んでいない。学術的な解明が難しいことと同時に、その論を提唱することは、どうしても人種差別という微妙な問題と絡んでくるからである。
その一方で、数々の神話の回答は原始的だが極めて明快である。たとえば、北米先住民のホビ族に伝わる神話では、もともと神が人間をつくるとき、赤、黄、白、黒の4つの色の土を用意したことになっている。それぞれで人間をつくったために、肌の色がそれぞれに違うのだそうだ。また、アフリカ・マリ共和国の南部に住むドゴン族に伝わる神話でも、人間のもともとの素材は土であり、熱い太陽の下でつくった人間は黒人となり、冷たい月の光でつくった人間は白人となったという。
さらに、東ギニアのコノ族に伝わる神話では、人間は純粋に神の子供として登場するが、その時点ですでに白人と黒人に分かれて生まれてきたという。神は、生きる術として、北人にはペンと紙を、黒人には農機具を与えた。やがて白人たちはアフリカから遠く旅立ち、黒人は残ってアフリカの大地を耕したそうだ。いずれにせよ、ここで共通しているのは、いずれの人種も同一の神から同時につくられたということだ。もちろん学術的には何ら価値はないのだろうが、少なくともここには差別の根源となるような内容はない。
『神々の造った地球』
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