加藤のメモ的日記
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小選挙区制が今回見せつけた恐ろしさは、前々回、前回と比べても格別だった。民主党はおよそ2大政党の一翼とはいい難い規模まで縮んだ。自民、公明両党を「1強」とすればその他「8弱」の筆頭にすぎない。「2大政党を軸とする政権交代のある政治」政治改革の目標は前回ひとまず成就したかにみえたが、わずか3年で危機に陥った。
政党政治の形をこれからどうしていくのか。また、それを考えるときに欠かせないのが選挙制度の設計を変えるのか、かえないのか。衆院選後の日本政治が直面する難題である。衆院での再可決が可能になる3分の2超の議席を獲得した自公両党は、数のうえでは衆参両院のねじれを克服した。新首相となる安倍晋三総裁は、この強力な足場の使い方が問われる。1回目の首相のときに臨んだ2007年参院選敗北の悪夢を安倍氏は忘れてはいない。しばらくは「安全運転」を心掛けるだろう。来夏の参院選に打ち勝って、悲願の憲法改正に展望を見出すという筋書きである。
改憲勢力の結集を進めるなかで、かってのような1党優位の半ば半永久与党化を目論む。そんな筋書きも描きうるだろうが、今の段階では先走りにすぎよう。一方、民主党は苦い教訓を得たはずである。2大政党の一翼たるもの、ばらけていては戦えない。党を純化するのはいいが、戦力も大きくそがれる。その復活は懸案の綱領づくりなど、党の原点を踏み固め直すことができるかどうかにかかる。
2大政党か、第3極を含む多党制か。それは自公民3党が来年取り組むとしている選挙制度の「抜本的な見直し」にも左右される。小選挙区区制のもとではもともと不利な中小政党だけでなく、自民党内でも中選挙区制への回帰論が熱心に語られる。あまりに極端、あまりに不安定という批判は的外れではない。小選挙区制のものでは、新党が乱立してもいずれは2大政党に収斂する力学が働くが、中選挙区制や比例代表中心の制度に変えれば他党化が促進される。
それは単に政党政治の在り方が変わるだけではない。小選挙区制は事実上、次の首相を有権者が直接に選ぶ仕組みである。私たちは今回「安倍首相」を指名したに等しい。多党制のもとでは首相選びは政党間の交渉に委ねられる場合が多い。そのどちらを選ぶのか。政党や政治家だけに任せておける判断ではない。
『朝日新聞』12.18
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