加藤のメモ的日記
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野田首相が、いよいよ衆院の解散に追い込まれた。消費税を増税しないとマニュフェストで謳っていたのに、財務省の掌の上で転がされて増税法案の採決を断行した。さらに谷垣自民党総裁(当時)との会談で「消費税増税法案が成立した暁には『近いうちに』国民に信を問う」を約束したものの、3カ月たっても一向に解散する気配すらなかった。2回連続で「ウソ」をつくことに世論は想像以上に反発を高め、それが応えたのか、野田首相は追い込まれて解散に踏み切らざるを得ない状況になった。
そんな野田首相が、突如として選挙の争点にもってきたのが「TPP」(環太平洋戦略経済連携協定)である。解散する”名目”の一つとして強引にTPPをもってきたのだろうが、これで一時沈静化していたTPP論議が過熱することになりそうだ。「経済産業省は推進、農林水産省は反対」と是非が二分されているTPP問題をどう理解したらいいのか整理しておこう。
TPPとはざっくり言えば参加国間で関税などが取り払われて「自由貿易になる」ということ。国民は安い輸入品の恩恵を受けてプラス、、国内生産者は輸入品に食われてマイナス、輸出業者は市場が広がるためプラスと、プレイヤーごとにプラス・マイナスはあるものの、合算すると国益として「プラス」になることは歴史が証明済みである。普段は意見の一致をみない経済学者の間でさえ、この結論にはほとんど異論がない。
ただこれはあくまで理想論である。実際には交渉に参加する国々が自国に有利になる項目を協定にいれ込もうとするため、交渉の結果次第では国益にとってプラスにもマイナスにもなり得る。だとすれば、ひとまず交渉に参加してみて、交渉の結果、日本にとってマイナスになるようだったら降りればいい。交渉の最終段階にもなってくるとTPPの成果はすべて国内法に反映されるので、その段階で国全体としてのプラス・マイナスのそろばんを詳細に弾くことができるからだ。
TPPの交渉に参加するのは美男美女が集まるという噂の「合コン」に出かける四なものといえる。好みの相手がいれば、アタックして付き合いが始まり、場合によっては結婚までいくかもしれない。とにかく合コンに行かなければという人がいるかどうかさえ分からない。それなのに日本は今のところTPPの「交渉」に参加するかどうかで争っている。参加が遅れるほど美男美女は他の参加者に取られる危険性が高まるので、今すぐにでも参加は表明したほうがいいのだ。
実は日本が関係する「合コン」はTPP以外にも日中韓FTA(自由貿易協定)日EUのEPA(経済連携協定)、さらにASEANから発展したRCEP(東アジア地域包括経済連携)などたくさんある。通商政策では、二股、三股は当たり前。実はそのほうが国際交渉力が増す。日本は中国が入っているものにも米国が入っているものにも両方の交渉に参加して、両国を天秤にかけて国益を追求することができる立場にある。これからの日本を強くするためには、二股でも三股でも仕掛けて、国益を追及していく通商政策が必要だといえる。
『週刊現代』12.1
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