加藤のメモ的日記
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2012年12月07日(金) 外務官僚の素顔

「闇権力」に近づきすぎた自分との決別

小泉純一郎総理は、平成17年(2005年)9月に行なわれた総選挙で郵政民営化だけを争点にして与党大勝利に導いた。しかし、これから具体化してくる国民生活に直結した政策は、郵政民営化などではない。サラリーマンに狙いを定めた大増税への政策転換なのである。

サラリーマンに狙いを定めた大増税への政策転換なのである。平成18年(2006年)9月の自民党総裁任期満了まで消費税の増税はしない、と小泉首相は明言した。しかし、定率減税の廃止も含め、消費税以外の増税路線はすでに始まっている。事実上のサラリーマン増税は間違いないなくなやってくる。小泉政権はこの増税路線を隠すために、「小さな政府」を掲げて行財政改革を唱えている。しかし、本来は「小さな政府」も「大きな政府」もないのだ。今の日本が目指すべきは「効率的な政府」だからである。

硬直した組織の中で特権階級意識に凝り固まった高級官僚が、自己の栄達と蓄財のためにだけ築き上げた官僚天国。ここにメスを入れることが行政の無駄を根本的に削り取る最短ルートであり、行財政改革の王道のはずだ。すべてのスタートは、官僚組織の無駄遣いをなくすことからはじまるのだ。しかし、小泉首相のいう「小さな政府」では、官僚の無駄遣いを止めさせることはできない。むしろ、官僚天国を助長することになる。

その典型的な事例が外務省だ。当時、川口順子外相は「外務省のウミをすべて出し切った」と胸を張って宣言した。しかし、「外務省改革」の実態はどうだったのか。外務省官僚は相変わらず官僚天国を謳歌している。そのことは、私が平成17年(2005年)10月に国会に提出した28通の質問主意書で明らかになった。外務省在外職員の住居手当を見ても明らかだ。一人平均1年間で、なんと290万円の手当がついている。月100万円を超える住居手当を受けている外務官僚も少なくない。

では、外務省改革は不十分だったと片づければいいのか。そうではない。そもそも、川口外相、竹内事務次官には、最初から外務省改革など実行するつもりはなかったのである。国民は外務官僚のレトリックに騙されたのだ。そして、その脚本を書き、陰で演出していたのが永田町、霞が関の「闇権力」なのである。私自身は外務官僚がつくる「闇権力」の実態を知るおそらく唯一の国会議員であったが、これまで自らが知った真実を述べてこなかった。このことに対する反省の気持ちを込めて本書を書いた。

日本をダメにする小泉改革

今の日本が第一に取り組まなければならないのは改革である。私自身も改革に向かって全力で取り組む覚悟だ。しかし、この改革を拒んでいるものがある、小泉改革の知恵袋である竹中平蔵総務相が推し進める新自由主義政策だ。私は新自由主義政策は最終的に、日本の国力を衰退させると考えている。確かに国民の小泉総理に対する期待は大きい。しかし、国民の多くが日本の国力が弱体化し始めているという強い危機感を持っているために、目の前にある危機から抜け出したいという願いを込め、小泉総理を支持しているという面が大きいを私は見ている。

「聖域なき構造改革」「小さな政府」と言うスローガンを掲げる小泉総理の改革路線は、弱者を切り捨て、強いものをより強くすることによって経済を活性化し、日本の国力を上げようというものである。これが新自由主義政策の本質だ。

では、新自由主義をおし進めるとどうなるのか。都市部の富裕層だけがより豊かになる一方、中小企業や地方在住者、年金生活者、低所得者、少数民族といった弱い立場の人たちはますます弱くなるのだ。その結果、経済格差が進むのは間違いない。そして、一番影響を受けるのは、次世代の子供たちだ。どんなに能力があっても、豊かな家庭に生まれない限り、その能力を十分に発揮することのできない社会になるからだ。親の製材状態や住んでいる場所に関わらず、子供たちには平等なチャンスが与えられなければならない。その中でこともたちは競争すべきだ。

ところが小泉改革では、親の所得の差が子供の教育を受ける機会に差をつけることになる。そしてそれは、子供が大人になった時の所得格差につながっていく。これでは日本人の大多数がやる気を失うのは目に見えている。

サラリーマン減税を行なう前に

今の日本の改革では、あらゆる権利が公平に配分される社会を基本とすべきだ。「機会の均等」が担保されなくてはならない。それによって「公平配分」の社会をつくる。それしか日本国の「基礎体力」を強化する方法はないと私は思っている。一方、小泉型の改革が目指すのは「傾斜配分」の社会である。私が考える理想の政府の姿は、「大きな政府」や「小さな政府」という表現では表せない。今日本人が目指すべきなのは、「効率的な政府」であろう。政府のあらゆる無駄をなくし、効率的で機動的な仕組みを完成し、豊かな社会を実現するのである。

現在の官僚制にはたくさんの無駄がある。例えば、外務省のキャリア官僚は入省間もない20代でも海外で勤務するならば、年収が1000万円を楽々と超えてくる。表向きにはそうならないが、さまざまな手当てをつけるというカラクリで優遇されている。他にも無駄はある。在モスクワ大使館に勤務する幹部の住居手当の限度額は月間114万円というのだから驚く。ロシア人の平均給与は月3万円ほどであることを考えると、宮殿のような邸宅に住むことができるわけだ。しかも、メイドや運転手も官費で雇っているのだから、まさに王侯貴族の生活である。こうした生活をしていると人間はどうなるか。特権意識が芽生え、「外交官は自国民を守ることを最優先しなければならない」という基本中の基本をどこかに置き去りにしてしまうようになるのだ。

私は、外務省の在外職員の給与制度をすべて国民の前に明らかにし、その金額が適正であるか再検討することこそが、「効率的な政府」実現の第一歩だと考えている。それは、日本国民が額に汗水たらして働き、世界第2位の経済力をつくりだしたということを、特権意識に慣れてしまった外務省官僚に再認識させる必要があるからだ。国内外で働く多くの日本人のおかげで、いうなればその力を背景にしてのみ外交を行なうことが可能になる。別の言葉で語るならば、日本人すべての税金が外務省在外職員の仕事と生活を支えているのだ。サラリーマン増税を行なうならば、まず公務員自らの襟を正して無駄をなくすのが財務再建のスタートだろう。そうでなければ国民の理解を得ることなど、到底不可能だ。外務省在外職員に支払われている金には、多くの無駄がある。

役人が政治家をコントロールするシステム

まず、「論ありき」というアプローチを私はとらない。論よりも事実を積み上げていこうと考えている。官僚制度の知られざる暗部を明らかにし、どれだけ無駄な税金が浪費されているかを白日のもとに晒す。それが私に与えられた使命だと自覚している。

もう一つ指摘しておきたいのは、議員年金と政党助成金の問題だ、無駄をなくして効率的な政府にするためには、議員年金を直ちに廃止すべきと考える。また。大きな問題点を抱える政党助成金という制度にも手を入れるべきだ。政治家は政治資金規正法で政治資金を集めることができる。また、パーティーを開いてその収益を政治資金にすることができる。これらの金には税金がかからない。これだけの優遇措置があるのだから、それでやりくりするすべきだ。政党助成金のような政治家自身が努力しないで手に入れる金に頼るべきではない。

そもそも。政党助成金は矛盾を抱え込んでいる。政党とは私的な組織であり。国家が有する組織ではない。私的な組織である政党に対して、国家のために使うべき税金が投入されているのは原理的におかしい。

また、政府が政党に不当な干渉を行なう危険性が政党助成金制度にはある。国は税金の使いみちを正しく把握するために、政党に対して積極的に関与できる。国=政府であり、政府を実質的に支えているのは官僚組織であることを考えると、役人が政治家をコントロールできるシステムになっているわけだ。政党助成金には320億円にも上る税金が支払われているが、以上の理由から、即刻廃止すべきだと考えている。こうしたシステムのもとでは健全な民主主義は成立しない。



『闇権力の執行人』


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