加藤のメモ的日記
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移民、女性、貧困層の政策で差がついた
中傷合戦はうんざり
接戦となった選挙戦で再選されたオバマ米大統領。「チェンジ」(変革)の呼びかけに多くの国民が期待した4年前の前回ほど盛り上がりはなかった。選挙戦の特徴は―。
投票日の6日、激戦となった南部ジョージア州フェアファックスで、投票を終えたヒスパニック(中南米)系の男性ジョーは語った。「オバマに投票した。経済問題が一番の関心だ。でも、女性や少数者の権利なと社会問題への姿勢も選択の基準だ」オバマ氏の13日現在の得票は、6200満票。4年前と比べて730万票も減らしている。失業率7.9%、失業者推定1230万人という厳しい状況を反映し、現政権の経済運営への厳しい批判が示された。
政権奪還に向け絶好のチャンスといわれた野党・共和党。ところがロムニー前マサチューセッツ州知事の得票は5900万票。4年前のマケイン上院議員の票より114万票減らした。
最大の争点は
選挙の最大の争点は経済対策だった。オバマ氏は、金融経済危機からの回復策を着実に進めてきたと強調。自動車産業の救済や、無保険者問題の解決に向けた医療保険制度改革を「実績」として訴えた。財政赤字の削減策として、富裕層増税も提案した。
一方のロムニー氏は、「政府に雇用は創出できない」として、民間部門主導の経済成長策を主張。富裕層や大企業を中心として10年間で5兆ドル(約400兆円)規模の減税と、企業活動への規制緩和を宣言した。しかし、軍事費や貧困対策、環境問題など、国民の関心の高い分野の論戦は深まらないままだった。目立ったのが、テレビコマーシャルに巨額の金を投入した中傷合戦。有権者からは”もううんざり”との声が。
国民の多様化
オバマの勝利の背景として指摘されているのが、米国の人口構成の変化である。出口調査によれば、黒人層の93%、ヒスパニック系の71%、アジア系の73%がオバマに投票した。ロムニー氏がリードしたのは、白人男性と高齢者層のみだった。選挙中、共和党陣営からは”メキシコとの国境に通電したフェンスを設けるべきだ”等移民への厳しい発言が相次いだ。黒人など少数者に多い貧困層を”政府に頼って生活する人たち”と見下す言動、”女性が性的暴力で妊娠するもの神の意思”といった発言も飛び出した。
ジョージ・メーソン大学のビル・シュナイダー教授は「経済問題というよりは、多様化する人口構成が結果を決めた。オバマ氏への投票者は、共和党が勝ったら何が起こるかと恐れた」と指摘する。オバマ氏の再選には、共和党の「自滅」という要因もあるといわれる。
共和党の支持層からも、「小さな政府」を掲げて減税と規制緩和ばかりを唱える政策自体の見直しを求める声が出ている。保守派の論客デービッド・ブルック氏はニューヨークタイムズで「共和党の基本的な考え方の枠組みが、もう有権者の共感を呼ばない」という。今回の選挙の結果、大統領は民主党、上院は民主党が過半数、下院は共和党が過半数と、選挙前と同じ構図となった。景気回復を求める国民の期待にどうこたえるか。早速12月にはオバマ氏が公約した富裕層増税をめぐる与野党の攻防が本格化する。
『週刊朝日』
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