加藤のメモ的日記
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| 2012年10月14日(日) |
橋本維新「大失速」の真相 |
橋本氏の持ち味はそのスピード。方向を誤ったと判断した時の軌道修正も早い。世論の動きをつかむことに敏感な橋本氏が維新の危機に気付いていないはずがないが、この人らしいアクションが出てこないのである。このところの橋本氏は全く独裁者らしくない。なぜなのか。大阪市の職員天下りの是非を審査する人事院監査委員会委員で、橋本氏ご意見番の一人、評論家の矢山太郎氏は維新失速の真の原因をこう指摘する。
「橋本氏は戦略を間違えた。維新ブームは橋下自らが引っ張ることに国民は期待したから盛り上がった。ところが、維新がとった戦略は、橋本と松井は国政選挙に出ないかわりに、国会議員団を橋本が市長のまま絶対的な決定権を持ってコントロールするという中途半端なやり方だった。出てきた議員たちの顔触れもみすぼらしい。松野は橋下側近だったのに、離党して維新に入るなど何を考えているのかわからん。松浪健太は無名。あとはもっと無名。
総選挙では東国原が目玉候補というが、東国原なんて宮崎のマンゴーを売っただけだろう。政策討論会でも目を見張るような意見をいう者はいなかった。せめて60〜70人の国会議員から選ぶならそれなりの人材が集まるだろうが、現在の10人足らずの国会議員団が橋下の遠隔操作で国政を変えるといわれても、国民は注目しない。失速は当然です」
橋下氏は一貫して衆院選出馬を否定してきたが、出馬したくても決断できない事情があるという。「橋下氏が国政に出馬すれば、反橋本勢力は後継市長選に平松邦夫(くにお)・前市長を立てて巻き返しに出てくるはずだ。大阪の改革はまだ道半ばだから、橋本路線を引き継いで平松に勝てる強力な後継者がいることが橋下氏が国政に出る絶対条件になるが、それが見当たらない。”大阪城”の本丸を奪われたら都構想は実現できない。だから府議団や市議団は橋下国政出馬を認めない。橋下自身は今では自身の国政出馬は大阪改革で実績を上げてからでいいと2段戦略に傾いているようだ」(ブレーンの一人)
しがらみに囚われてしまったのか。屋山氏は「国政取りに動きはじめてから橋下の持ち味の改革のスピード感が見えなくなった。この状態からどうやって体勢を立て直し、挽回していくのか。橋下の真価が問われているといえるでしょう」
まずは維新の会の”独裁者”に 橋本出馬なら100議席
問われるのは1にも2にも橋下氏自身の覚悟である。屋山氏は「橋下には強い反撃力がある。彼自身は出て論争すれば負けたことがない。ここは、覚悟を決めて本人が先頭に立つべきで場ないか」橋下氏が迷いを振り切って国政に出馬し、大阪市政改革で示したように、あくまで既成勢力と対決し、この国の統治機構を改革するという原点をはっきりさせる。橋下改革を変質させる幹部や地方議員、国会議員に「ついて来られないならついて来なくて結構だ」と迫って、捨身で改革に投じるメンバーだけを引き連れて国政に挑む。橋下氏自身が「この国には独裁者が必要」と語ったように、維新を完全掌握する独裁党首になれない政治家が、この国の統治機構の改革に取り組めるはずがないのである。
総選挙での維新の議席やその後の影響力も、橋下氏が出馬する場合と出馬しない場合では大きく違ってくる。政治ジャーナリストの野上氏はこう読む。「橋下氏が出馬しない場合、維新がたとえ全国に全国に候補者を擁立しても、勢力圏は近畿ブロックを中心とする限定的な地方政党にとどまるはずです。大阪市長が党首の政党が、大阪改革のために票をくれといっても、東京をはじめ全国の有権者はかえって失望する。議席もせいぜい30〜40議席にとどまるのではないか」
逆に橋本氏が大阪を飛び出せばどうなるか。「経済の地盤沈下が著しいという課題は大阪だけではなく、どの地方も直面している。橋下氏の大阪都構想の実験は、現在の中央集権の統治機構を改革し地方が権限を持って独自に地域の浮揚をはかる分権国家の発想です。大阪のためではなく、改革を全国に広げるために総理大臣になるのだと前面に出せば、相当な共感を呼ぶ可能性がある。維新の個別の候補者の力がどうであれ、橋下氏個人の決意一つで、維新は100議席を超えて政界のキャスティングボードを握る可能性は十分にあると分析している」(野上氏)
維新八策を掲げて全国に候補者を擁立すると豪語した橋下氏は、国民の期待に応える責任がある。まはや「自分の出番は次の次。国政改革は国会議員団に任せる」という逃げは通用しないのだ。
『週刊ポスト』10.19
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