加藤のメモ的日記
DiaryINDEXpastwill


2012年03月13日(火) 君が代を歌わない自由

君が代を歌わない自由と、タバコを吸う自由の違いは、人に迷惑をかけるか否かだ

日本では大多数の政治家の顔が、国民の大多数の方を向いていない。彼らの顔は、大企業やメディア、そして最も熱心に官僚、特に財務省の方を向いているのだ。加えてこれは民主党も自民党も同じとわかったから、あとは昔の「百姓一揆」のように、むしろ旗を立てて国会に向かうしかない。しかもこの傾向は地方自治体にも浸透しているらしい。

橋本大阪市長が、次の参院選に数百の候補者を立てると宣言した。つまり国政を目指すのだろう。それならそれで、はじめから国政選挙に出ればよい。まずテレビで人気を得、地方選挙(大阪府知事)に勝って、辞任。自分の腹心を知事選に立て、自分は市長候補になって二人とも当選した。どこかで聞いたような話ではないか。そう、ロシアのプーチン前大統領が辞任し、腹心のメドベージェフを大統領に、自分は首相になった。そして大統領の任期を増やして、次の大統領選に出る気だ。さすがにロシア国民は怒って、連日デモを打ち、プーチンも慌てているようである。

しかし橋本首相は人気があるから、国政側がすり寄っているのがおぞましい。みんなの党がそうだが、今度は亀井静香が石原慎太郎を担いで新党をつくり、これも橋本と連帯と言っている。彼らはみな「右寄り」だから、つるみやすいと思う。大阪府の「君が代条例」は昨年橋本率いる大阪維新の会が成立させたもので、「教職員は起立により君が代斉唱を行なうものとする」と定めている。もし規律や斉唱を拒否すれば、懲戒や訓告、ひいては減給や停職が待っている。ただし、先日最高裁は、「減給や停職は慎重に」と、これに反対する判断基準を示した。まだ日本国内の三権分立は生きているんだ。

橋本君、君にとって人生で一番大切なものは何だね。ボクにとっては「自由」である。若い君は知らないだろうが、ボクらは小学校の頃、朝礼の時に二重橋の写真、つまり皇居の前で、あくびを噛み殺しただけで、教師に殴られた。あれから70年近く経って、多くの同胞を戦争で失い、人一倍働いて今日の民主国家の一人になれた。

憲法を読んでごらん。我々には「表現の自由」が保障されているんだよ。あの尊い犠牲を踏みにじってまで、北朝鮮や中国、ロシアのような国にしたいのかね。もちろん自由と放縦は違う。しかし人に迷惑をかけない”自由”は保障されるべきが、真の民主国家なのだ。橋本君、君がボクシングのリングの上で、君が代を斉唱する自由をボクは認める。しかし「歌わない」教職員の自由も、認めなければならない。ボクはこの条例を撤回しない限り、維新の会は危険な”独裁的政治集団”として扱うつもりである。



『週刊現代』2/18


加藤  |MAIL