加藤のメモ的日記
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2012年02月18日(土) 都市伝説 抗生物質は風邪に効かない

「風邪薬は風邪には効かないのです」そう断言するのは米山医院院長の米山医師だ。「そもそも風はウィルス感染によって起きる病気ですが、インフルエンザなどと違って、風邪を治すための抗ウィルス薬は、ほとんど開発されていません。事実、市販の風邪薬はパッケージに『風邪の諸症状の緩和』と書いて逃げていますが、あくまでも熱や咳などの症状を一時的に軽くするだけで、風邪を治すわけではないんです」風邪薬が風邪に効かない。困ったことに、これは市販の薬だけでなく病院で処方される薬も同じである。しかも、薬の取り合わせによっては、治りが遅くなってしまうという。

池谷医師が説明する。「最悪なのが、抗生物質と解熱剤の組み合わせです。抗生物質は風邪の原因であるウィルスではなく、細菌をやっつける薬ですから、風邪には効きません。そればかりか、安易に抗生物質を飲むと身体の中の菌が耐性を獲得してしまい、いざという時に抗生物質が効かなくなってしまい下痢などの副作用も考えられます。そして風邪による熱は、ウィルスを弱らせるために出ているものです。それなのに解熱剤を飲んだら、せっかく体が治ろうとしているのを止めるのと同じ。わざわざ治りにくくしているようなものなのです」よぽどのことがないかぎり、風邪は薬に頼らないほうがいい。「自然治癒を待つのが一番の近道」だというのだ。

このように風邪ひとつとっても、間違いだらけの医学常識は多い。では中高年にとって身近な血圧はどうだろうか。なんと昨年、「食塩摂取量は控え過ぎても心疾患のリスクが高まる」という新たな研究がカナダの研究者らによって発表された。この発表について池谷氏は「そのように結論づけるには追跡調査が必要」と慎重な姿勢だが、「いくら塩分を減らしても血圧が下がらないという人がたくさんいるというのは明らかになっています。こういう体質を『食塩感受性が低い』といいますが、このタイプは高血圧症患者のおよそ7割を占めています」という。

つまり、食塩を控えても控えなくても、血圧の値に影響がないということだ。「とはいえ、日本人が塩分を摂り過ぎているのは事実です。食塩は血圧の上昇とは無関係に心臓や血管に悪影響を及ぼすことがわかっていますし、血圧を下げる薬には、塩分によって効果が低減するものがあるので、健康のためには塩分を抑えるに越したことはないでしょう」(池谷医師)

ウコンは二日酔いには効かない

女性にとって気になるのがコラーゲン。コラーゲンをいくら口から摂取したところで皮膚のコラーゲン量が増えることはない。コラーゲンはタンパク質なので、体内でアミノ酸に分解されて吸収される。つまり肉や魚を食べても同じこと。よく考えればわかることなのだが、コラーゲン鍋にコラーゲンドリンクなど、こうも様々な商品が出回っているとつい思いこんでしまうのが怖いところ。ちなみに『新・医学常識のウソ・ホント』などの著書がある前出・米山医師によると、肌にいいという触れ込みのヒアルロンサンや関節などにいいと思われているグルコサミンなど飲んで治すタイプのものも同様に意味がないという。

「それらの商品が高価であるほど、プラシーボ効果(偽薬効果)はあるかもしれないが、それ以上のものはないのです。また飲み会の前や二日酔いの朝、ウコンのドリンクを飲んでいる人も笑えない。「ウコンが二日酔いに効くことはまだ科学的に証明されていないのです」そう指摘するの池谷医師は「ブルーベリーが目にいいというのも、「都市伝説みたいなもの」と切り捨てる。池谷氏によると、この年前節の起源は第二次世界大戦にさかのぼるらしい。イギリスとドイツが闘った折、イギリス空軍はレーダーを所持していたため夜戦にめっぽう強かったが、レーダーを持っていることをドイツに知られたくなかった。そこでイギリスは、敵機を撃ち落とす名パイロットがいることにしたのだ。

「その人がたまたまブルーベリーが好物だったので、そのせいで眼が良く夜戦に強いのだというデマを流した。以後、ブルーベリーは目にいいと言われるようになったとか」(池谷医師)玄米は、ビタミン、鉄分、カルシウム、食物繊維などが豊富に含まれ、健康によいとされるが、必ずしもそうではない。「玄米のぬかにはフィチン酸という物質が多く含まれており、これが鉄やカルシウムと結びつくと水に溶けにくくなる。そのため、腸からの吸収が悪くなってしまうのです」(米山医師)

さらに平石医師は、牛乳が骨にいいという「常識」に疑義を唱える。「人間の身体は乳製品に含まれるカルシウムを吸収しにくい。また、牛乳などに含まれる「乳糖不耐症」の人の少なくなく、お腹をこわしてしまう人もいます。それであれば、小魚やヒジキなどの海藻類の方がずっとカルシウムが多く含まれており、より効果的といえるでしょう。ちなみにカルシウム不足は骨以外にも影響を及ぼすことが最近の研究でわかっている。カルシウムの摂取量が不足すると、逆に脳や血管のカルシウムが増えて動脈硬化になり、心筋梗塞や脳梗塞、認知症なとを引き起こす原因にもなりうる。

また貧血にはレバーやホウレンソウ、という常識も同じような理由から「意味がない」という。「鉄血法相による貧血は、そもそも食品からの鉄分吸収がしにくい体質のために起こることが多く、そのケースでは、レバーなどを食べても鉄分は吸収しずらい。その場合は薬で補うべきなのです」(米山医師)一時、玉ねぎの血液サラサラ効果がよくいわれたが、、これも根拠はなく、そもそも血液を「サラサラとか「ドロドロ」と表現すること自体がナンセンス。血液の粘性が高くなれば動脈硬化などのリスクが高まりますが、粘性が低ければいいわけではない。貧血や低たんぱく血症の場合、血液二年生がなくなりサラサラしますが、これは病的な状態です」(米山医師)

健康的な血液はサラサラ、というのは、どこかの健康番組がでっち上げたまやかしに過ぎないのである。最近は体温を上げる効果があるとしてショウガ料理がブームになっているが、「体温を上げれば健康になる」という考え自体にも疑問があるとか。体温が高い方が細胞の代謝が活発になることは事実だが、かってアメリカのジョンズ・ホプキンス大学で65歳以上の男性を対象に行なわれた調査では「低体温が長生きの条件である」と発表されている。「一つの食品を取り上げて『○○は▲▲に効く』というような疫学調査をするのは、現実的に不可能です。食べる人と食べない人を1万人ずつ集めて長期にわたって比較すれば、科学的に根拠のあるデータが出せるかもしれませんが、技術的にも費用的にも無理。証明することがとても難しいのです」(米山医師)


『週刊現代』


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