加藤のメモ的日記
DiaryINDEXpastwill


2012年02月01日(水) 丸山ワクチンの現在

治験薬は本来、患者に無料で提供されるが、丸山ワクチンは患者が全額自己負担する「有償治験薬」として使用が認められることになったのである。この「有償治験薬」は日本では丸山ワクチンが唯一の例である。以来、一部のガン患者たちに使われ続けている。丸山ワクチンを使った治療を希望する場合、通常よりも若干煩雑な手続きが必要だ。投与を希望する患者やその家族は、まず主治医に「治験承諾書」を書いてもらい、故・丸山博士が72年に設立した日本医科大学付属病院ワクチン治療研究施設(東京)で初診を受けてワクチンを購入。それを主治医のもとに持ち帰って投与(注射)してもらう。

承諾書を発行し、投与を行なってくれる医療機関に指定や制限はなく、故・丸山博士の次男で、NPO法人「丸山ワクチンとガンを考える会』事務局長である丸山達雄氏によれば「現在、全国で約2万の医院が対応している」という。丸山ワクチンがガンの治療に使われ始めたのは1964年。以来、現在に至るまでのべ約39万人もの人に投与されてきた。

同ワクチンの研究施設所長の、永積氏によれば、2010年の1年間だけでも延べ3万人近くに投与され、そのうち新たな患者も2600人を超える。現在までに使用期間が1カ月以上、5年未満の症例数は15万6600人。5年以上10年未満は1万800人余り、10年以上の症例数は7000人余りに上る。

丸山ワクチンにはAとBの2種類の注射薬があり、AはBの10倍の高濃縮になっている。これらを交互に隔日に注射する。料金は40日分(20本)で9450円(税込)。1年間投与を続けたとしても10万円未満ですむ価格だ。患者負担が1カ月1万円に満たないというのは意外と安いといえるのではないだろか。

ガンの治験薬として認可されていないにもかかわらず、長年にわたって患者に使われ続けているのは、当然、それだけの効果があるといわれているからである。例えば、04年から05年の2年間に丸山ワクチンを投与された患者の中に、「投与開始時点でステージ3から4の進行大腸ガン」「病理組織が確認されている」「丸山ワクチンを10年以上使用している」という3条件を満たす症例が162例あった。つまり、進行大腸ガンでありながら、丸山ワクチンを投与されて10年以上延命している患者の例が162あった、ということである。生存年数の最長は33年だったという。

前出・永積氏が話す「丸山ワクチンの使用を続けることでガンが縮小したり、消失したりするケースがあります。消失しなくても、全身の状態が良くなり、延命できるケースが少なくありません。また、ガンが進行すると痛みや食欲不振など、患者さんにとって非常に辛い症状が現れるのですが、丸山ワクチンがそうした症状を消してくれるケースが多く見られます。つまり、QOL(クオリティーオブライフ)を向上させてくれるのです。

丸山ワクチンの特徴はいくつかあるのだが、その最大のものは「副作用がない」ことだろう。正常細胞に対して悪い作用を及ぼさないので、末期がん患者のように肉体の衰弱が激しい場合でも、全身的な副作用がなく、長期にわたって安心して使うことができるのだという。さらに抗ガン剤や放射線治療による副作用を軽減する効果もある。それでいて、抗ガン剤や放射線治療の効果を妨げることもない。

標準治療否定は本末転倒

丸山氏の長男である丸山茂雄氏(元ソニー・ミュージック副社長)も丸山ワクチンの投与を続けているガン患者だ。茂雄氏は、07年11月に食道ガンが全身に転移していることがわかり、余命4カ月と宣告された。ステージ4の段階であり、もはや手術も出来ないほどひどい状態だった。だが、放射線、抗ガン剤治療と並行して丸山ワクチンの投与を受けると、ガンが焼失したり小さくなったりしていた。そして宣告された「余命」を大きく超え、4年余りたった今も存命している。

「丸山ワクチンとガンを考える会』理事長である篠原一氏(東京大学名誉教授)も、丸山ワクチンによって生き延びている一人である。篠原氏は73年、48才の時にガンが見つかった。摘出手術をし、さらに放射線治療も受けた。「放射線治療が非常に辛く、16回照射を受けたら副作用で倒れてしまったんです。そこで、ガンが見つかってから2年後、丸山ワクチンを知り、投与を受けはじめました。以来、35年余り投与を続けていますが、ガンは再発していません。放射線治療を受けていた時のような副作用もありません」篠原氏の知り合いだったあるガン患者は、10年間丸山ワクチンを打ち続け、もうガンを克服したと思って投与を中止した。その途端、ガンは再発し亡くなってしまったという。

ほかの代替治療と同様に、丸山ワクチンは効果がある人が大勢いる一方で、まったく効かない人も数多くいる。免疫のメカニズムが未知の部分を残しているだけに、なぜ人によって効果に差があるのかわかっていないのだ。そのため、丸山ワクチンを妄信して標準治療を否定してしまうのは本末転倒だ。永積氏も、抗がん剤などの標準治療との併用を進めている。



『週刊ポスト』


加藤  |MAIL