加藤のメモ的日記
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| 2012年01月23日(月) |
アジアの先住民族(4) |
アイヌに文字がなかったのはなぜか
私は、金田一京助先生の仕事を、昭和35年(1960)から昭和42年(1967)年まで手伝っていました。ユカラの訳をを手伝っていました。そのとき先生が、いろいろな話を私に聞かせてくれました。そのとき先生が一番聞かせてくれた話は、この世界における文字の成り立ちでした。
「本当は、日本にも文字はなかったんだ」と。「日本も隣の中国から借りてきた文字の一部を、アイヌより早くカタカナにし、ひらがなにしたというだけです。世界中で本当に内側のものとして文字を作ったのは、古代ローマとか中国とか少ない。それらを世界中の人々が借りて使っているんです。だからね、菅野さん、あなたの民族であるアイヌに文字がないことは文化の程度が低いことではありませんよ」と、そういうふうに言われました。これは金田一先生の受け売りですけど。
アイヌに文字らしきものはありません。アイヌは日本語のひらがなとカタカナを使っています。そんなわけで、文化の高い低いとか精神文化については文字と関係なく、いいものがアイヌ社会、アイヌの考え方にあるんだなとそんなふうに考えています。
『アジアの先住民族』
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