加藤のメモ的日記
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「緑茶でガン予防」はウソ 今は健康にこだわる人ほど、かえって不健康になっている可能性が高いのです。それは誤った情報や常識に踊らされているためで、それならハナから健康に無頓着な人のほうがはるかにマシだと言わなくてはなりません。例えば食べ物の栄養素についてふれた、こんな健康情報がよくあります。「鉄分が豊富なホウレンソウは貧血予防にもいいが、シュウ酸も多く含まれてます。シュウ酸は、カルシウムとくっつくと結石の原因になるので注意しましょう」この情報に何の意味があるというのでしょうか。だったら、ホウレンソウを食べたとき鉄分だけを飲みこんで。シュウ酸は吐き出せとでもいうのかと言いたくなります。
そもそもどんな食品にも、健康にいい面と、そうでない面の二面性があります。例えばニンジンは皮膚を上部にしてくれるカロチンが豊富だけれども、アスコルピナーゼという酵素が多く、これがビタミンCを破壊してしまう。牛乳はカルシウムが多く含まれているものの、動物性脂肪が多いから、たくさん飲むと脂肪のとり過ぎになってしまう。
だったら、カルシウムは煮干しでとったらよかろうと思うかもしれないけれど、煮干しもまた過酸化脂質が多いためシミやニキビの原因になるというマイナス面があります。つまり、そもそも一つの食品だけで健康を語ること自体がナンセンスだというわけです。しかも、テレビ番組が大好きな「××を食べると○○にいい」式の情報には、ウソやまやかしが少なくありません。
例えば「緑茶がガン予防にいい」として、緑茶の消費量が多い茶どころの静岡県掛川市が「人口10万人以上の市区町村の中で、ガン死亡率が日本一低い」と強調していた番組がありました。ここで重要なのは、罹患率と死亡率を混同してはいけないということです。掛川市は、「ガンの罹患率が日本一低い」というのなら、この地域の食生活に特徴的なことが影響している可能性はあります。でも、「ガンの罹患率が日本一低い」というのなら、この地域の食生活に特徴的なことが影響している可能性はありますでも、「がんの死亡率が低い」のなら、まず第一の要因として挙げるべきは医療の充実です。しかるに、この番組では罹患率と死亡率をごっちゃにしていました。
ヨーグルトに意味なし
「ビフィズ菌がお腹をきれいにすると聞いたから」と、毎日大量のヨーグルトを食べている人がいます。ヨーグルトを食べると腸内の善玉菌がすぐに増えるわけではありません。大切なことは善玉菌が棲みつきやすい腸内環境をつくること。このためには食物繊維が必要となります。食物繊維は、大腸で分解されるのですが、その際、メタンガス、炭酸ガス、水素ガスなどを発生させます。これらはオナラなどになって排泄されますが、悪臭はありません。
さらに、食物繊維が分解されることで大腸の働きが活発になり排便が促され、大腸内の酸性度も高まります。すると酸に弱い悪玉菌の増殖が抑えられて腸内がきれいになり、ビフィズス菌などの善玉菌が増殖していくのです。つまり、普段からご飯、イモ、豆類をしっかり食べていれば腸内に善玉菌は自然に増えていくので、ヨーグルトを食べても食べなくても関係ないのです。
また、「タマネギは血液をサラサラにする」とよく言われますが、これもほとんどがマユツバ。タマネギの血液サラサラ効果を科学的に実証するデータはなく、発表されている論文も「そうだったらいいな」というレベルのものなのです。ノンアルコール飲料も同じ。あれはアルコールなしでありながらアルコールを飲んだような気分にさせるために、香料をはじめいろいろな添加物が使われています。つまり、ノンアルコールという一つの健康を生みだすために、いくつもの不健康な混ぜ物が入っているわけです。
さらに、多くの野菜ジュースには果汁が入っていますが、その果汁のほとんどが濃縮還元果汁。これは果汁をいったン乾燥させて粉末にし、これに水を溶かしたものですが、これだけでは香りが足りない。そこで香料を加えています。ストレート果汁を使ったものはごくわずか。野菜ジュースは健康にいいか、と聞かれると、大きな問題はないが、「とくに健康にいいとは言えない」というのが私の結論です」
それにしても、普通のお茶を「健康茶」と銘打っただけで高く売れ、そこに御用学者のヨイショがあれば、さらに売れる。そこで大手メーカーは資本力にものをいわせて、あれこれと情報を発信し、健康ブームを継続させる。こうしてつくられた巨大なヘルシー食品市場の中で翻弄されているのが、今の気の毒な消費者です。かくして御用学者は引っ張りだこ。
『週刊現代』
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