加藤のメモ的日記
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金正恩を頂に置いた新王朝は、誕生の直後からあまりに多くの不安材料を抱えており、あっという間に崩壊する可能性が否定できない。まず王朝の内部に反抗勢力が存在している。金正恩と折に触れて対立してきた金永春・人民武力部長が、中国人民解放軍の後ろ盾を得て、正恩から実験を奪う機会を虎視眈々とうかがっている。
「もし正恩が本気で拉致問題の解決や経済改革に乗り出すとすれば、それは軍部にとって、拉致を直接指示してきた金正日の行動を否定することにつながります。正恩が拉致問題の進展に動き出したとき、軍部の強硬派は正恩を失脚させるために、思い切った行動に出るでしょう」(中国の外交関係者)さらに、金正恩の側近部隊にも、”反乱分子”がいると見られている。
金総書記は死亡の2カ月前のある日、正恩を帯同して平壌にある「護衛司令部」を訪れた。護衛司令部は、北朝鮮の高官の警護と暴動の鎮圧をになう部隊で、金総書記や正恩ら指導層が最も信頼を置く部隊とされている。「この部隊は大変重要な働きをしている。食料は確保しいているか。豆や肉は十分に供給されているのか?」金総書記は部隊の担当者にこう言葉をかけ、食料の供給を約束するなどして彼らをねぎらったが、この訪問にはこんな事情があったと韓国国防部関係者が説明する。
「金総書記が異例の労いを行なったのは、この側近部隊の中に正恩の後継に疑問を持つ勢力がいる、との情報が入ったからです。最側近の部隊の中にさえ不満を持つ兵士が現れていることが、金王朝の末期的な状況を示しています」北韓大学院の柳吉在教授も「北朝鮮のエリート層の中でも、全員が正恩体制に賛成しているとは見られないところが多々あります。今後、指導部内で対立が生じて、金正恩を最高指導者とすることに反対する勢力がクーデターを起こす可能性も否定できません」と指摘する。
指導者層や軍部からだけなく、市民から蜂起の火が上がることも、十分に考えられる。現在、北朝鮮内には約80万台の携帯電話が出回っており、外部からの情報の収集、接触は一昔前と比べてはるかに容易になっている。「昨年2月には、北朝鮮政府が公式に設けている投稿サイトに、携帯電話から『金正日総書記と金正恩を追いだし、この国に新世界を作ろう!』という書き込みがなされました。おそらく韓国側の人間がイタズラで書き込んだものだと思われていますが、中東のジャスミン革命のように、インターネットを通じて住民が放棄する可能性も否定できないでしょう」(韓国国防部関係者)
現在のところ金正恩は平壌市民に魚や寒さ対策のための衣料品などを配給し、市民の不満を和らげている。しかし、十分な配給物資がなくなれば、住民の怒りは一気に高まり、北朝鮮国内の治安は急速に不安定になっていくだろう。
『週刊現代』
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