加藤のメモ的日記
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2011年12月29日(木) これから生き残る会社

一つの、長く続いた、キラキラ輝いた時代がもうすぐ終わりを迎える。2011年に立て続けに起こった米国債の格下げ、欧州の欧州の国際危機が象徴するのは、戦後約60年間、米欧中心に回ってきた世界経済システムの終焉に他ならない。これから10年の間にユーロが事実上崩壊し、米国の衰退が明らかになる中、代わって世界の中心に立つのは間違いなく中国だ。信州大学経済学部の真鍋教授が言う。

「中国では現在の貧困層が富を蓄え、人口13億人の約9割にあたる11億人ほどの中間層が誕生し、歴史上最も巨大な経済大国が誕生するだろう。さらにインド、ブラジル、オーストラリアなどが中国に次ぐ中心的な国家となり、続くようにインドネシア、ベトナム、南アフリカなどの国々が急成長を遂げ、新・新興国、巨大消費圏として台頭する。

一方で米欧そして日本といった、かっての先進国は、テレビ、パソコン、家電、車といった主要産業で軒並み雇用が失われる上、グランドコンピューティングなどのIT化が急速に進展する中で中間管理職のポストがなくなり、企業が『1割の経営者と9割のワーカー』という組織に変化する。おのずと現在の比ではないほどの長格差社会が訪れることになるだろう」

過去20ねんにわたって日本経済は停滞の底を泳ぎ続け、どんなに財政政策や金融政策を打っても効かない”麻薬中毒患者”になり果てた。米欧も政府が金をジャブジャブ投入することで何とか経済政策の体を装ってきたが、それもすでに限界。2012年は”かっての先進国”が「国家の信用(=国債)」を市場から見限られるエポックメイキングの年として経済史に記録されることになる。ただ財政破綻という大変動がなくても、日本はもう高成長は期待できない。東証一部に上場する約1700社のうち、統合や合併による再編も含めて、上場企業は半数くらいに減っているだろう」10年経ては、企業の風景はガラリと変わる。

事実、約10年前に日本エアシステムとの経営統合を発表した日本航空は、「絶対に潰れない会社」と言われながら経営破綻した。また10年ほど前に白物家電でシャープと包括提携を発表した三洋電機は、‘11年にはいってその白物家電事業を中国の家電大手ハイアールに売却することを決めた。ピクナル代表の安田氏は「これからはもっと変化の激しい時代になる」と語る。

「IT分野でいえば、つい最近まで『PC対携帯』だったのが、、スマートフォンの登場で戦いの構図が一変した。また一般書店を苦境に追いやった大手ネット書籍通販会社アマゾンが躍進したのもつかもま、電子書籍の登場で家電などへ販売アイテムを拡大させることになり、いまや楽天との闘いという図式になっている。まさに昨日の勝者は今日の敗者になりかねない。

私は『じり貧ジャパン』と呼んでいるが、このまま手をこまねいていては『老大国イギリス』と同じ路を歩みかねないだろう。BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)が猛スピードで成長する中で、日本企業の優位性などは失われていく。スピード化の中、一つ舵取りを誤れば、10年後は日本の大企業といえども存在の保証はない」



『週刊現代』


加藤  |MAIL