加藤のメモ的日記
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2011年10月20日(木) やがて寂しき東大卒

なぜ彼らは「残念な人」で終わるのか

学歴エリートが、サラリーマンの世界でエリートになれない理由を、自身も東大法学部卒である人事コンサルタントの城重氏が語る。「もともと東大をはじめとする旧帝大は官僚養成機関として、組織の忠実な歯車を育てることを目的に設立されたものです。そういう人を選抜するのが東大入試なのですから、東大卒が官僚向きなのは当然なんです。なので、たとえば東大卒に経営能力やリーダーシップを期待するのは的外れだといえます」

東大卒の行員を数多く抱えるメガバンクで働く黒川氏はこのように語る。「東大卒の上司には、典型的な”小役人”タイプが多いと感じます。リスクをとらないため、都合が悪そうなことがあると部下を前面に出し、自身は絶対に全面に出ない。失敗は部下の責任にして、うまくいった時には自分の手柄にするんです。部下には好かれないけれど、上からは評価されている人もいます。だけど、飛び抜けた実績はなく、役員にはなれない、というパターンです。東大卒も40過ぎればタダの人です」

小倉氏も東大卒の人材をこのように見ている。「僕の会社の中の東大卒で多いな、と思うタイプは自分で決断しない、またはできない人。常に自分より上の役職の人に相談し、決定権も責任も押しつけてしまう。要領のよさをみるとうまいな、頭いいんだな、とは思いますよ。でもそういう人って結局信用されないですよね」

また在京キー局の幹部クラス社員の飯島氏は「うちは東大卒で出世した人はあまりないですね。俺は出世して当然、といった感じで泰然としているように見えて、要領よく立ちまわれる人に差をつけられていく。東大卒は、『俺はお前らとは違う』とでも考えているのか、社内で人脈を作らない、独りよがりのタイプが多い。40過ぎぐらいまでに現場を外されて、アーカイブの整理とか、テープの管理とか資料室といった閑職にまわされたり、制作会社に出向されらりたりする社員が多いんです」

就活事情に詳しい人材コンサルタントの常見氏は「ダメな東大生というのは、独善的ですよね。こういう東大生はグループディスカッションをさせると、他人の話を聞かなかったり、自分の意見に従わせたり、見下す傾向があります。このタイプは管理職になっても、全く部下がついてきません。なまじ頭がいいから、人の話を理解しようという姿勢に欠けているのではないでしょうか」

いつまでも、まわりが間違っている、自分は正当に評価されていない、と思い続け、プライドが高くて他人の意見を聞き入れられない東大卒。出世の目も消え、転職もできずに、新入社員に「あの人、東大卒らしいよ」とささやかれ、意外そうな目を向けられる。勉強ができるなら民間に行かず、官僚になっていたほうが幸せだったかもしれない…。だが、日本はそんな官僚たちのおかげで大変なことになってしまったのだ。東大卒、残念…。


『週刊現代』


加藤  |MAIL