加藤のメモ的日記
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電子や光子、陽子、中性子の粒子、あるいはα粒子が猛スピードで飛び出すのが放射線。放射線を浴びた細胞は当然ながら被曝する。その結果、動物実験では脂肪率上昇、奇形発生、胎児異常、生殖能力低下、突然変異などが確認済みだ。放射線を当てた食べ物は「放射線照射食品」と呼ばれ、日本では唯一、北海道の一部地域から商社ジャガイモが出荷される。それが37年も前から続いている。
腐らず、発芽せず、長期保存ができるため、ジャガイモが品薄になる3〜4月に首都圏に出荷されてきた。「カレー、シチューなどレトルト食品も使われる」(食品加工業者)という話もある。国内で放射線照射が認可されている食品はジャガイモだけだ。ジャガイモに浴びせる放射線は、放射性物質セシウム137やコバルト60など。その放射線は、X線より波長が短いガンマ線だという。照射によって殺虫、殺菌、さらに本来の細胞機能を破壊してしまうから腐らないのは当然だ。ビタミンなど栄養成分も破壊されてしまう。
健康食品の中で人気の「青汁」は「放射線を当てた商品が多い」という。10年近く前から食品汚染を調査してきた、去る消費者団体の理事は「青汁の原料はまちまちですが、主だったものはケール、ゴーヤ、大麦若葉、ヨモギ、モロヘイヤなど。ケールはブロッコリーの先祖でアブラナ科の緑黄野菜。原料に何を選ぶかは製造元、発売元の自由だが、問題はそれらの原産地がどこかということ。
通販の青汁は、大半が扱いやすい微細粉末。「それも輸入品が非常に多い。主な輸入先は中国、台湾だが、実は粉末加工をする前、放射線のガンマ線を浴びせる。それが向こうでは許可済みだ。目的は殺虫、殺菌、つまり腐敗防止。腐らなければ原価が安くなるのは当然だし、そえゆえに青汁は通販の主力商品になり、儲けも大きくなる」
しかし、日本では一部ジャガイモを除き、放射線照射食品は食品衛生法で流通禁止のはずではないか。「その通りでです。ところが残念ながら、野放しというのが実情。なぜかというと、照射食品と非照射食品の判別が難しいため、そのまま輸入を認めてしまうからだ。殺菌剤不使用と申告してある食品が細菌ゼロだったら、真っ先に疑うべきは放射線照射だ。細菌がない食品なんてあるわけがない。そんな時は徹底検査しなければならないのに、それを怠っている」
事故後、福島第一原発を査察したIAEA(国際原子力機関)は、約40カ国で食品への放射線照射を認めている。オランダやチリでは、米、粉末卵、玉ねぎ、スパイスなどに加えて、乾燥野菜にも放射線を照射している。この乾燥野菜こそ、「溶かすだけでおいしく飲める」と宣伝される青汁粉末だ。ちなみに、粉末卵は和菓子、ケーキ類に使われる。また、各種添加物を加えて水で溶かし、その厚焼き卵が回転ずし、持ち帰り寿司に使われることもある。
韓国はマツタケ、粉末ニンニクに、タイはソーセージに、フランスは冷凍鶏肉、野菜由来の調味料に照射するが、これらはいずれも日本に輸入される。果物に照射許可が出ている南アフリカからはグレープフルーツが入ってくる。米国は日本でも問題になった病原菌O-157対策のため、‘97年に牛、豚、鶏などのまな生肉にも照射を認めた。オバマ政権の中枢とつながる知人の米国人を通して、「日本向けの牛肉、豚肉にも照射を行なっているのかと関係機関に確認したところ、「照射していない」という答えが返ってきた。
しかし、米国は日本向けのグレープフルーツ、レモンなどの柑橘類にイマザリルOPP、TBZという発ガン性物質、白アリ駆除剤、丸太防腐剤を使っているから、その答えは一概に信用できるものではない。これまで日本で見つかった放射線照射食品は、カナダ産のベニザケ、中国産の朝鮮人参ドリンク剤、ブラジル産の焙煎ガラナ豆と紫イペ茶、米国産の花粉加工食品などで、健康食品の範疇にはいるものが目立つ。知られざる核汚染の別の形が、食品への放射線照射だ。全国紙5紙が9月初めに首都圏、近畿圏で行った共同調査によれば最も高い関心事は「食料への放射能汚染」で63.9%だが、身近に照射食品が流通しているとは思いもよらないだろう。
『週刊現代』
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