加藤のメモ的日記
DiaryINDEX|past|will
| 2011年08月01日(月) |
ビタミンDには絶大な効果が |
高齢者は、転倒による骨折で寝たきりになり、それがきっかけで認知症になることも少なくない。つまり、転倒→骨折→寝たきり→認知症という可能性を、高齢者はラジオ体操によって回避できることになる。高齢者のみならず、熟年世代にとってもラジオ体操は大きなプラスがある。
「早起きして朝の光を浴びること。これは心身の健康にとって実に大切なことです。その意味でラジオ体操は、とてもいい習慣だと思います」こう説明するのは『宮本通りクリニック』(東京)渡会敏弘院長である。朝の光を浴びるのと、体内にビタミンDが蓄積される。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、丈夫な骨や歯を造るビタミンとして知られるが、ここ数年の疫学調査で、なんと大腸や肺、前立腺、乳房などのガンに高い予防効果があることがわかってきた。
カリフォルニア大学のガーランド教授は、血中ビタミンD濃度が高い人は、低い人より大腸がんの発生リスクが79%も低いという驚くべき研究結果を報告している。日本の国立がんセンターでも、ビタミンDとガンの関連性についての研究がおこなわれ、ビタミンDの血中濃度が低いグループは、高いグループと比べて男性で4.6倍、女性で2.7倍も大腸ガンの罹患率が高くなるという研究結果を発表している。
太陽の光をたっぷり浴びてビタミンDを蓄積することは、そのままガン予防になるといっても過言ではないのだ。さらに、ビタミンD と疾病の関係について詳しい『食品医学研究所』の平柳要所長(医学博士)によると「ガン予防に加え、糖尿病や高血圧などの生活習慣病にも効果があり、さらに脳卒中や心不全といった心血管系疾患のリスクを軽減します」という。
血中のビタミンD濃度が高い人は、低い人より糖尿病のリスクが63%軽減する。血圧についても、男性の84%、女性の63%がビタミンDの血中濃度を上げることで低くなることがわかっている。ビタミンDがなぜ、ガンや生活習慣病のリスクを軽減させるのか。これも最近の研究で明らかになりつつある。 ビタミンDには免疫細胞を活性化させる働きがあり、一日に数千個発生するガン細胞を殺している。血管系の疾病に効果があるのは、ビタミンDが血圧をコントロールする遺伝子に働きかけ、正常な作用に戻そうとするためだ。ビタミンDは、食品にも含まれるが、日光浴によって蓄積されるビタミンDは無駄なく体内に取り込まれて、必要以上の量を作らない。つまり、吸収率がよく、摂り過ぎによる副作用もないというわけだ。「夏に日焼けすると、冬になっても風邪などにかかりにくい」といわれるのは、こんなビタミンD効果が大きいのである。
朝早く起きて太陽の光を浴びることは、精神的な安定という面でもプラスに働く。「『セロトニン脳』健康法」(講談社α新書)などの著書がある有田秀穂・東邦大学医学部教授によると、「朝起きて太陽の光を15〜20分ぐらい浴びて体を動かすことは、自律神経の働きや精神面の健康にとって大きい効果がある」という。これは脳の神経伝達物質のセロトニンと関係している。セロトニンはうつ病の治療にも使われる薬で、この物質が脳で十分に働いていると、”穏やかでリラックスしていながら集中力はある”という意識状態を保つことができる。
『週刊新潮』
|