加藤のメモ的日記
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第二次補正予算案が20日、衆院を通過した。予算規模は約2兆円。二重ローン対策や原発事故の損害補償などに使われるが、もちろん、これで足りるわけではない。菅直人首相(64)はこの日の衆院予算委員会で津波被災住宅の高台移転跡地を国が買い上げる意向を示し、さらには震災の液状化についても「個人の家の対応については、新たな制度も含めて検討が必要だ。法的な仕組みも含めてしっかり対応できるよう指示している」と述べ、国の直接支援に積極的姿勢を見せている。
また、がれき処理についても市町村に費用の一部負担を求める政府の特例法案を見直し、国の全額負担となる方向だ。さらに原発事故の損害賠償の範囲については、政府の「原子力損害補償紛争審議会」が19日の会合で、風評被害や直接被害を受けた企業との取引で生じた「間接被害」も賠償対象とする方針を打ち出している。
こうなると政府が支出する賠償額、つまりは国民の負担が無限大に広がりかねない。「復興財源をできるだけ明確にするのが重要な柱だ。それを定めないと野党と協議しがたいし、2011年度第3次補正予算案の編成を実務的に進めることが難しくなる。野田財務相(54)は19日の閣議の会見でこう述べ、今月末にまとめる予定の震災復興基本方針に財源調達のための臨時増税の税目や税率を具体的に明記する意向を示している。復興関連の歳出入を透明化して、国民負担に理解を得たい考えでもあろう。
復興支援のための増税ならば国民はノーとは言えないが、財源論と合わせ、復興事業の中身についても突っ込んだ議論を求めたい。とりわけ津波被災地住宅の高台移転や跡地のい買い取り支援、二重ローン対策には慎重な議論が必要だ。本来、災害による個人資産の損失は自己責任で賄うべきだ。国民は誰もがリスクを負って暮らしている。だからこその私有財産ではないのか。
被災地住民には気の毒だが、少なくともこれまではそうだったはず。そのリスクを今回に限り政府が肩代わりするとなれば、明らかに公正さを欠く。もっといえば、国家と国民との関係、体制の選択が問われよう。
『日刊スポーツ』
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