加藤のメモ的日記
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子供たちは大人に比べて細胞分裂が盛んなため、より放射能の影響を受けやすい。諸説あるが、元放射線医学総合研究所主任研究官の崎山氏によれば、「子供の放射線感受性は大人の3倍から10倍にもなるという。とくに、甲状腺が放射性ヨウ素によって被曝することで起きる、甲状腺がんの増加はよく知られている。
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は「放射線の影響を受けにくい大人が観光地に足を運び、少しでも復興の手助けをするべきでは」と提言する。子供はともかく、放射線の影響というのは年齢とともに少なくなっていき、50歳では30歳に比べて実に50分の1程度まで低下しますから、放射線の影響はほとんどなくなると言えます。米国のデータによると、放射線被ばくによるがんの死亡者数を比べた場合、50歳の死者数は30歳の50分の1にまで低下するのです。ですから50代以上の人は、福島や栃木などの観光地に足を運んでも問題ないでしょう」放射線を「正しく怖がる」大人たちのたちによる支援の輪が広がることを期待したい。
チェルノブィリ事故で被曝した子供では、1987年から1996年まで慢性疾患が絶えず増加してきた。慄然とするのは、「発生率が5.7倍になった」という先天性欠陥=奇形児の増加ぶりだ。66年前の原爆による被害でも、母体内で被曝した胎児1473人のうち62人が小頭症だったとされ、そのうち半分以上が、重い精神遅滞を伴っていたとされている。
さらに放射線被ばくは、全身の免疫機能を低下させる。つまり「すべての病気にかかりやすく」なってしまう。糖尿病や白内障、さらにあらゆる感染症を発症する可能性があり、あるいは全身の倦怠感に襲われ、何もする気力がなくなるという「ぶらぶら病」という症状も現れる。ぶらぶら病は、外見的には怠惰な引きこもりにしか見えない。結果的に発症者は会社をクビになる、家庭生活が崩壊するなど、社会からつまはじきされることも多い。
さらなる問題は、福島の被害の範囲が、どこまで拡大するのか?ということだ。事故後100日を経過して、「福島は危ないが、その他の地域はそうでもない」という楽観論も広がっている。だが、それはとんでもない間違いだ。チェルノブィリを例にとれば、「東京」を含む首都圏も、紛れもない”放射能汚染地域”であることを忘れてはならない。年間1ミリシーベルト、これは日本の場合、首都圏も含まれる。現在、毎時0.1μ㏜(マイクロシーベルト)の地点が多数あることがわかっている東京・千葉・茨木などは、チェルノブィリでいえば「厳重な放射線管理地域」にあたるのだ。
ぶらぶら病など、各種の体調異変や疾患は、早ければ来年から表面化するといわれる。チェルノブィリや広島・長崎の例をとれば、甲状腺がんや白血病が3年後あたりから増え始め、5年、10年と経過するうち、重大疾患を抱える被ばく患者がどんどん増えていく。
この残酷すぎる現実に、国民はどう対処すればいいのか。神戸大学大学院教授の山内氏は、「子供を守るため、一刻も早く除染に取り組むべきだ」としてこう語る。「東京でも年間1マイクロシーベルトを超えている地域がありますが、まずは幼稚園などから始めて、小学校、中学校、周辺の通学路といった順番で除染を行なう。そして、各地域で『この場所なら安全です』という場所を確保し、増やしていくこと。そういう努力が必要です。
『週刊現代』
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