加藤のメモ的日記
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2011年06月18日(土) ヤミ金が暗躍

東日本大震災による生活難につけ込み、違法な高金利でカネを貸すヤミ金業者による被害が出始めている。当座の生活費にもこと欠く中、やむにやまれず借りてしまうケースが多い。義援金などを目当てにした業者もあり、国や自治体などは注意を呼び掛けている。「仕事がなくなって、家族を養えない」。東京都内のヤミ金業者に、北海道苫小牧市の50代男性から疲れきった声で電話が入ったのは4月半ばだった。宮城県の製紙工場の関連会社が苫小牧市にあり、男性はそこで働いていたが、震災で製紙工場が生産を停止し、そのあおりで勤務先が倒産。妻と子供3人を養う当座の生活資金15万円の融資を求めた。

過去に消費者金融の借金を返済できず、消費者金融から借りられなくなったため、数年前に融資を持ちかけてきたことがあるヤミ金にすがったようだ。利息は消費者金融の上限金利(ねん15〜20%)の20倍以上となる月40%。毎月の返済額は利息だけで6万円。男性は漁師に転身し、妻もパートを始めたが、元本まで返せるめどは立っていない。このヤミ金業者の男性(39)は毎日新聞の取材に『大変だな。頑張ろう』と優しい言葉をかけるだけで、暴力を使わなくても利息が入ってくる」と語った。

この業者には、仙台市の40代男性からも20万円の融資を申し込む電話が4月にかかってきた。勤務先のかまぼこ工場が津波で流され、妻と小学3年生の息子を養うため、かまぼこの移動販売を始めようと考え、機械の購入資金にするためだ。

男性は「申し訳ないですが、追加で貸してもらえませんか」と涙交じりに頼み込んだ。4年前にも10万円を借りており、総額30万円の利息は月12万円。業者は「5,6月の利息はきっちり振り込まれた。商売がうまくいったのか義援金が入ったのかは知らないが」と話す。利用者は全国に約150人。震災前の利息収入は月400万円だったが、4月以降は2〜3割増えた。国民生活センターでは4月以降、被災地からのヤミ金に関する相談が増加傾向にある。震災で失業した20代男性は「金に困っていないか」と電話で融資を持ちかけられ2万円を借金。その後「10日ごとに1万5000円を返せ」と迫られた。

震災後、国は消費者金融による被災者への融資条件を緩和した。各地の社会福祉協議会には、失業者の生活支援のため月20万円までを無利子で貸す制度もある。全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会の本多良男事務局長は「資金に困ってもヤミ金には絶対手を出さず、自治体や弁護士会などに相談してほしい」と呼びかけている。


『毎日新聞』


加藤  |MAIL