加藤のメモ的日記
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| 2011年06月12日(日) |
郵政民営化でジャパンマネーは(34) |
郵政民営化でジャパンマネーは闇の権力に搾取される
1980年代後半のバブル景気の原因は、アメリカから押し付けられたプラザ合意にあります。これは対日貿易赤字の是正を狙って円高ドル安を誘導するものであり、その結果、日本では円高不況を避けるために低金利政策が採られることになりました。そして、投機熱をあおってバブル景気へと突入していきました。しかし、日経平均株価は1989年の大納会(12月29日)に最高値の38915円を付けたのをピークに、暴落へ転じ、そこから1990年代中ごろにかけて、バブル景気は少しずつ崩壊していきます。このとき、最高値で株を売り抜けていったのが、ソロモン・ブラザーズなど外資系の証券会社でした。彼らはバブルの富だけを吸いつくして、その被害は受けなかったのです。
タイミングの悪いことに、1988年に決定され、1992年度末から本格適用となったBIS基準も、このバブル崩壊の流れを加速させました。BIS基準とは、「自己資本比率が8%を超えない銀行は国際業務を禁じる」という項目のある国際的な取り決めのことです。
日本の銀行の場合、取引企業の株が、自己資本の中に相当量組み込まれているケースが多くありました。バブル崩壊後の株価低迷のために自己資本比率が低下していたことで、BIS基準の適用によって邦銀の多くは海外からの撤退を余儀なくされました。
その結果、日本の金融機関全般への国際的な信用度も大きく低下することになったのです。さらに1997年以降、アメリカからの外圧によって断行された「金融ビッグバン」によって、次々と大手銀行が破たんする銀行危機が始まります。北海道拓殖銀行(北洋銀行・中央三井信託銀行へ事業譲渡)、日本長期信用銀行(現・新生銀行)、山一証券(メリルリンチへ事業移籍)、日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)といった金融機関が、次々と破綻されられました。中でも印象深かったのが、1998年に経営破たんし、8兆円にも及ぶ公的資金が投入された長銀のケースです。
ハゲタカファンドの代表格であるリップルウッドからなる投資組合は、この長銀をわずか10億円で買収しました。その後、自己資本1200億円を投入して「新生銀行」として衣替えをして上場したことで、2200億円以上の利益を得たのです。なお、この買収劇の際、投資組合は、ライフ、そごう、第一ホテルなど、長銀と取引のあった企業を破綻に追い込み、瑕疵担保条項を用いて利益を確保する行為に出たため、非難を浴びました。まさに「ハゲタカ」たるゆえんがここにあると言っていいでしょう。
なお、リップルウッドといえば、CEOのティム・コリンズはビルダーバーグ・グループにもかかわる人物です。リップルウッドの背後では、ゴールドマン・サックスが糸を引いており、そのゴールドマン・サックスの顧問をかって務めていたのが、2003年から2008年まで日銀総裁の職にあった福井俊彦氏、という闇のネットワークが形成されています。歯肉をむさぼる場下駄かのごとく、日本の破綻企業から富を吸いつくそうとする暴挙がまかり通るのは、このようなネットワークがあってのことであり、その背後には、世界の金融と政治を操る闇の権力が控えています。そして、闇の権力と直結する彼ら「ハゲタカ」たちは、第二地銀など比較的地味な案件にもくまなく手を出しているようです。
例えば、1999年に廃業した幸福銀行は、2001年にロスチャイルド配下の乗っ取り屋ウィルバー・ロスによって「関西さわやか銀行」となり、2004年には同じくロスチャイルド系の三井住友銀行子会社の関西銀行に吸収合併されて「関西アーバン銀行」となっています。ウィルバー・ロスといえば、ネオコン系シンクタンクであるハドソン研究所において、ブッシュ・ジュニア政権のネオコン派リチャード・バールに影響を与えたともいわれる人物です。このように、闇の権力の魔の手は、日本経済の隅々にまで張り巡らされているのです。
その最も露骨なケースが、小泉政権における郵政民営化でしょう。これは国内でしか投融資できない郵便貯金を、海外の市場で運用することを目指したものであり、300兆円を超える郵便貯金・簡易保険の半分は、すでに海外へ流出してしまっているともいわれます。
ゆうちょ銀行の債権管理業務を、ゴールドマンサックス系列の日本トラスティ・サービス信託銀行が、約10億円のマイナス落札で手に入れていること、ゆうちょ銀行でゴールドマン・サックスの投資信託商品を扱っていること、そして、ゆうちょ銀行の持ち株会社である日本郵政株式会社の社長であった西川善文氏は、ロスチャイルドゴールドマン・サックス系の三井住友銀行の特別顧問であったということ。これらの事実は、ゆうちょ銀行の実質的オーナーがゴールドマン・サックスとロスチャイルド家であるということを示しているといえましょう。
西川善文氏は、2003年に三井住友銀行がゴールドマン・サックスから5000億円の増資を受けた時に活躍した人物であるということも忘れてはいけません。一説に、この増資はゴールドマン・サックスにとって非常に有利な条件であり、その裏で間を取り持っていたのが小泉政権の経済財政担当大臣の竹中平蔵氏だともいわれています。もちろん、西川善文氏の日本郵政株式会社社長就任を導いたのを彼でしょう。
西川氏は日本郵政へ移る時に、三井住友銀行から5人ほどのの精鋭を引き連れてきました。彼らを使えば、他の銀行を骨抜きにすることなど造作もないといわれています。このように、竹中平蔵氏はアメリカの手先として、国民の大切な郵便貯金を海外へ流出させました。さらには金融庁を使って、厳格な時価会計基準を振りかざし、名だたる企業を次々と破綻させて、外資の手に渡しました。その彼は現在、タボス会議(世界経済フォーラム)のボードメンバーとして闇の権力とのつながりを密接に保ちつつ、民間人でありながら、依然として日本に対して圧力をかけ続けています。
なお、いわゆる「ゆうちょ問題」をめぐり、西川下ろしを画策した鳩山邦夫総務会長が事実上更迭されたことは記憶に新しいことですが、彼が竹中氏のそういった圧力を意識していたのは確かだとしても、その裏に潜む闇の権力にまでは気づいていなかったのではないか。私はそう考えます。もし気づいていたなら、それが自らの政治生命にとってどれほど危険なことであるか、もっとよく理解できていたはずです。
『世界金融危機と闇の権力者たち』
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