加藤のメモ的日記
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2011年06月11日(土) インドが通常兵器最大の輸入国に

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は7日、2011年版年鑑を発表した。中国、インド、ブラジルなど新興国は力強い経済成長を背景に軍事支出を増大させ、、軍の近代化を進めている。中国やパキスタンとの緊張が増すインドは戦闘機や潜水艦の調達を進めるなど、この5年間で中国を追い抜き、世界最大の通常兵器輸入国となった。同年鑑によると、10年の軍事支出は米国が6980億ドルで世界全体の43%を占め、2位の中国1190億ドル、7.3%を大きく引き離している。インドは413億ドル、2.5%で9位だった。

米国のほかに軍の近代化が目立つのは、中国、インド、ブラジル、ロシア、南アフリカ、トルコの6カ国という。こうした新興国の台頭に伴い、06〜10年の世界の通常兵器取引高は01〜05年より24%も増えた。パキスタンとの間でカシミール問題を抱えるインドは、インド洋に進出する中国にも神経をとがらせており、戦闘機や潜水艦を調達して、空・海軍力を増強している。

05〜09年の通常兵器輸入額では中国が世界全体の9%を占め1位、インドは7%で2位だったが、06〜10年ではインドが9%、中国が6%と逆転した。中国は自国は自国製兵器の製造能力向上に努めており、軍事技術の盗用を恐れるロシアが中国への兵器輸出を抑えていることも中印逆転の一因になったようだ。今年1月現在の核兵器数は米国とロシアの核軍縮交渉で前年より2070発減って、国連安全保障理事会常任理事国の5カ国とインド、パキスタン、イスラエルの8カ国で2万530個(推定)である。インドとパキスタンはともに20発を増強したとみられている。

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東南アジア諸国がようやく、海軍力を見せつける中国にモノをいうようになった。これまでは、中国の武装艦が怖くて南シナ海の沿岸国が束になっても文句を言えなかった。先ごろ、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議では、発言者の誰もが中国を意識した。ある国は直接に批判し、ある国はやんわりとけん制する。「航行の自由」を取り上げれば、中国の南シナ海で、悪辣な振る舞いへの批判だった。「東南アジア諸国連合会(ASEAN)拡大国防相会議」に賛意を表する国は、豪州、インドという中国の対抗勢力の結集に期待を示した。それは当然の報いである。中国は南シナ海のほぼ8割を領海と主張し、威嚇の上に発砲、だ捕する。南シナ海をチベットや台湾並みに「革新的利益だ」と宣言し、逆らう者には問答無用の暴力をふるう。武力行使の垣根が低いのだ。

筋力をひけらかす中国に対抗できるのは、米国しかいない。「911」の米中枢同時テロ以来、久しく留守にしていた米国がアジアに戻ってきた。クリントン国務長官が昨年1月の演説で「アジア回帰」を宣言し、同年7月には中国が嫌う領海権争い解決への多国間交渉の支持を打ち出した。ゲーツ国務長官も「南シナ海の航行の自由は国益」であるとして、中国流でいう”核心的利益”を言い始めた。米太平洋軍はこの指針を実際の運用に動き出しているから、沿岸国には心強いはずだ。中国はこのアジア安保会議に、満を持して最高位の国防相を送り込んできた。昨年夏、ハノイで開催されたASEAN地域フォーラムで、米国がASEAN諸国の後ろ盾になったため集中砲火を浴び、米国に外交的な敗北を喫したからだ。

だが、日ごろの振る舞いが悪ければ、いくら美辞麗句を重ねても同じことである。こわもての梁光烈国防相が「中国軍の近代化は自衛目的で、他国に脅威を与えない」と演説を終えると、すぐにベトナムがかみついた。「南シナ海は全般的に安定との発言があったが、実は事件が多発している」タイン国防相はベトナムの資源探査船の調査ケーブルが、中国監視船に切られたことを表明した。フィリピンのガズミン国防相も続けて、スプラトリー(南沙諸島)周辺で「中国の建造物建設の動きがみられる」と文句を言った。2002年にASEANで署名した「南シナ海行動宣言」で新構造物の建設を自制するとした規定に反するとの批判だ。

米国は大東亜戦争で日本を叩いたように、歴史的にアジア太平洋の覇権国の台頭を許さない。ゲーツ長官が「100ドル賭けてもいいい。5年後も米国のプレゼンスは今と同じ状況にある」とくぎを刺したのもそうだろう。国務長官の念押しに、会場は拍手と笑いに包まれたという。この時、梁国防相の顔を見られなかったのは残念なことである。中国の南シナ海での振る舞いは、尖閣諸島のある東シナ海でも同じである。日本はアジア各国に連帯し、中国の力任せの圧力を封じたい。



『産経新聞』


加藤  |MAIL