加藤のメモ的日記
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| 2011年05月09日(月) |
塩の健康常識 (30) |
肌のカサカサ、傷の治りが遅い人の共通点は、塩の不足が原因である。塩のナトリウムイオンが体内に不足すると、新陳代謝は衰えてしまいます。人間の細胞は細胞膜を通して必要な栄養素を細胞外液から取り組み、代謝の結果できた老廃物をまた細胞外液に出していて、この内液・外液間の物資の移動は浸透圧の差を利用する形で行われています。このときにナトリウムイオンの量が少ないと、物資移動が活発に行われなくなり、新陳代謝がスムーズにいかなくなるのです。その為、新しい皮膚の再生が遅くなって、皮膚がカサカサしたり、傷が治るのにも時間がかかるというわけです。
腎臓は塩が足りないと弱ってくる
ナトリウムは腎臓の働きを促進する役割も担っています。腎臓は血液をきれいにして、一部再吸収するという働きを持っていますが、この働きはナトリウムイオンによって助けられています。また腎臓には尿を作って、老廃物を尿と一緒に体外に出す働きがありますが、ここでもナトリウムイオンが大きな手助けをしているのです。
そんなナトリウムが不足すると、人間の体は、尿の中に出したナトリウムを再吸収して外に出さないように機能し始めます。そのことが腎臓に大きな負担になり腎臓は弱ってしまうのです。そのうえ尿の量も減るので、体内の老廃物が体外に排出できなくなり、健康が阻害されてしまうのです。
高血圧の犯人は『塩』と決めつける説に疑問があることは、実は10年以上も前から日本の学者が指摘していたことでした。アメリカではすでに1980年頃から、この誤りへの反省が始まっていたのです。しかしこうした医学界の新情報はなかなか私たちの耳には入ってきません。そのため日本ではいまだに『塩』は頭から悪者扱いされ、高血圧の患者さんたちは必要以上に塩を控えた味気ない食事を強いられているのです。
こんな偏った思い込みに陥ったのは、戦後まもなくのこと、アメリカのダール博士が、日本の都道府県別の食塩摂取量と高血圧発生率との関係を調べ、「高血圧は塩分の取りすぎが原因」という説を発表しました。それによると、1日30グラムもの食塩を摂取していた秋田県では、成人の約40%が高血圧を発症。これに対し当時のアメリカ人は現在の日本人と同程度の12〜13グラムの塩分摂取で10〜15%の発症、大阪ではおよそ15グラムで約20%。さらにアラスカのエスキモーは食塩摂取がほとんどゼロで、高血圧症発症もゼロという調査結果だったのです。
ダール博士はこのデータをもとに「塩と高血圧には相関関係がある」としました。さらに「エスキモー、あるいは原始種族の生活には塩は存在しなかった」との推論をもとに「人間にはもともと塩への欲求はなかったはずだ。従って塩を取らずとも人間は生きていける」とまで結論づけ、塩を徹底的に悪者扱いにしたのです。もちろんこのように極端で独善的な主張は、現在ではすっかり支持を失うに至っています。
『塩と水の聖なる話』
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