加藤のメモ的日記
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2011年05月03日(火) 日本列島が地震の巣 (29)

世界の中の日本という視点で見れば、日本列島全体が一つの地震帯になる。日本列島には地球上の地震の10%が起こっている。これに対しその地震の起こっている面積は地球の全表面積のたかだか0.1%であり、いかに日本列島付近に地震が多いか理解されよう。しかし、日本列島という狭い視野に立てば、そこでも地震のほとんど起こらない地帯と多発地帯とが存在する。

かっては日本列島内に起こる地震をグループ分けして淀川地震帯、信濃川地震帯というような呼び方をしたが、地震の震源決定の精度が上がった今日では、日本列島内ではあまり細かい地震帯は意味がなく、むしろ地震地域というような概念のほうがよい。

日本列島の太平洋岸はマグニチュード8以上の巨大地震の多発地域である。同じ地域に約100年に一回ぐらいの割合で、巨大地震が繰り返し起こっている。1970年代後半から注目されている東海地震もその一つで、駿河湾から遠州灘沖にかけては少なくとも過去数十年間、マグニチュード5以上の地震が起こっていない地震の空白地域となっており、大地震発生の可能性の高い地域として注目されている

北海度南方から三陸沖にかけては、十勝沖地震や三陸沖地震と呼ばれるマグニチュード8以上の巨大地震が発生し房総半島沖合も同様な地域である、さらに房総半島沖合から駿河湾にかけてのほか、本州南方の遠州灘から四国の沖合も歴史的に大きな地震が起こるので注目されている地域である。第二次大戦末期前後の1944年12月7日(東海地震M8.0)、1946年12月21日(南海地震M8.1)似巨大地震が起こったが、それより90年前の1854年12月23日と24日にも、約250キロ離れた地域でマグニチュード8.4の地震が2個続いて発生した。
このようにこの地域では巨大地震が数日から1〜2年のうちに2個続けて起こる傾向もある。

マグニチュード7クラスの地震の頻度はもっと大きい。北海道南岸から東北地方の太平洋側にかけては、10年に1回ぐらいに割合でマグニチュード7以上の地震が起こっている。福島県から茨城県にかけての沖合の太平洋ではマグニチュード7クラスの地震が続発する傾向がある。1938年11月5日から6日にかけて、マグニチュード7.7の地震が24時間以内に3回発生した。さらに関東地方から東北地方にかけての太平洋沿岸にも、時々発生している。

九州の日向灘も地震が起こる地域で、巨大地震の記録はないがマグニチュード7クラスの地震が100年間に5〜6回の割合で発生している。マグニチュード6クラスの地震は1885年から1970年までの85年間に36回起こっている。

地震の大きさが話題になる時、マグニチュードと震度の違いが混同されることがある。マグニチュードは地震そのものの大きさである。板張りの体育館で体重の重い人と軽い人が同じ高さの台の上から飛び降りたとする。当然、体重の重い人の起こす衝撃のほうが軽い人の衝撃より大きい。これがマグニチュードである。

震度はその衝撃を感ずる場所での振動の物差しである。二人の飛び降りた場所から近くの同じ距離にいた人は、体重の重い人が飛び降りた衝撃のほうが軽い人の起こした衝撃より、大きい振動を感ずるはずである。しかし、ずっと離れて体育館の隅にいた人は、どちらの振動も感じない。震度はゼロである。つまり震度は、ある場所での振動の大小であって、振動を起こした源の大きさの大小ではない。

南アフリカで起こったマグニチュード8の大きな地震でも日本では人体には感じないので震度はゼロ、つまり日本では無感の地震となる。しかし、自分のいる近くでマグニチュード4の地震が起これば、恐らく震度は2とか3となり、被害はなくとも地震は感じる。人体に感じる地震を有感地震と呼ぶ。有感地震となる地震のマグニチュードは3ぐらいからであるが、時にはマグニチュードが2という有感地震も起こっている。


『地球のなかをのぞく』


加藤  |MAIL