加藤のメモ的日記
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| 2011年03月26日(土) |
温暖化と砂漠化(20) |
今、温暖化が目に見える形で進んでいるところが、北極や南極の極地である。北極の海は、一年中氷に閉ざされている。この海氷は、冬の終わりの3月には厚さ、面積ととも最大になり、夏の終わりの9月に最小になる。そこからまた氷が育つというサイクルを繰り返しながら、一定の氷の量を保ってきた。ところが、その氷が急激に溶けだしているのだ。
2005年9月。NASA(米宇宙局)の発表では、北極圏の海氷面積が、衛星による観測を始めてから最小の530万㎢を記録した。これは1978〜2000年までの9月の平均面積(660万㎢)より20%も小さい。
さらに冬の氷も減っている。2006年1月の時点で、1年前より氷が14%消失。この消失面積は60万㎢にもなり、日本列島の約1.6倍。冬になっても、海氷が以前のように育たなくなってきているのだ。北極海にあるグリーンランドの氷の融解も著しい。NASAの発表は、グリーンランドを覆う氷河の年間流出量はここ10年で2.5倍になったという。衛星写真で見るグリーンランドは、確かにわずか10年で氷に覆われた部分が3分の2以下にまで減少している。
このまま温暖化が進めば。氷が溶ける速度は20年以内に4倍に加速し、2040年の夏には北極圏の氷はほぼ消滅すると、米国立大気研究センターは警告していいる。すでにホッキョクグマは絶滅危惧種に指定された。氷上で生活する生物にとって、氷の消失は死を意味する。
一方南極の氷も大規模な崩壊をくり返しており、これまでの溶けて消失した氷の面積は13500㎢。南極大陸最北端にある南極半島の気温は、過去50年間で2.5度上昇した。地球のほかの地域よりも、かなりのハイペースで温暖化が進んでいるといえる。
南極には、地球の氷の9割が集中している。この南極の氷が溶けたら、北極の氷が溶ける以上に大きな影響が出る。なぜなら、陸氷の溶解は海水面の上昇に直結するからだ。海氷はもともと海に浮かんでいる氷だからそれほどの影響はないが、陸氷が溶けるということは、そのまま海の水を増やすことだ。
さらに、南極や北極の温暖化は地球全体の温暖化に影響する。この極地の膨大な氷が、地球全体の冷却装置の役目を果たしているからだ。この氷があるから地球は、一定の温度を保っていられるのだが、それが消失すれば地球の温暖化は加速度的に進むだろう。
それだけではない。氷が減ること自体が、温暖化を進行させる原因になる。氷は太陽の熱を反射するが、海は吸収する。氷が溶けて海の面積が増えると、その分、熱が吸収されて海水温が上がる。するとそこに浮かんでいる氷は、上がった水温によってさらに溶けるという悪循環に陥るのだ。実際に地球の海面温度は過去100年間で0.5度C上がり、海面も年1〜2ミリの割合で上昇している。
南北極の氷が溶けると、地球が真球体になり、地下のプレートが動いて、地震や津波が多発すると警笛を鳴らす人もいる。地球が楕円形を保っているのは地球の両極に氷山があるからだそうだ。溶けているのは、極地の氷だけではない、アルプスやアンデス、パタゴニア、ヒマラヤなど、世界各地の山岳氷河が溶け、山肌が露出したり湖に変わってしまっている。こうして溶けた氷は、最終的には海に戻っていく。
北極や南極は、異変をいち早くかぎつける「炭鉱のカナリア」だといわれている。今、世界全体の平均気温は14.5度Cである。もしこの平均気温が2〜3度C上がったとしたら、赤道では0.5〜1度しか上がらないが、北極では7度も上がる、温暖化は寒い極地から始まり、徐々に暖かいところに伝搬するのである。
アラスカの冬の気温は過去50年間で3〜4度上昇した。いつか私たちもこの温度上昇を体験することになるのだろう。
砂漠化する地球 温暖化とならんで懸念されるのが、地球の砂漠化だ。この二つの現象は、決して無関係ではない。温暖化が砂漠化を招き、砂漠化が温暖化に拍車をかける。今砂漠化がすごい勢いで進んでいる。国連環境計画の調査によると、毎年6万㎢ずつ砂漠化しているというのだ。これは、九州と四国を合わせた面積にほぼ匹敵する。
この国連のデータをもとに、「砂漠化リアルタイムカウンター」が設定されている。2000年8月1日から、「現在の砂漠面積」と「緑の大地がなくなる日まで」の日数をリアルタイムで表示している。とくに深刻なのが、アフリカとアジアだ。すでにアフリカ大陸の3分の2は砂漠、もしくは乾燥地と化している。アジアでも、中国、インド、パキスタンなどの広大な土地が日々乾燥し、砂漠化しているのだ。砂漠化した中国の砂は、黄砂となって日本にも飛来する。この黄砂の量が年々増えているのは、中国の砂漠化が進んでいるということだろう。
『死に向かう地球』
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