加藤のメモ的日記
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未曾有の国難となった東日本大地震。宮城県南三陸町では町が、丸ごと大津波に流され、石巻市では地盤が1メートル近く沈んだ。巨大地震の影響で、日本列島全体が2.4メートル動いたことも判明している。政府は、この巨大地震のマグニチュードを8.8から9.0へと修正した、世界最大級の巨大地震となった。
「東日本の大西洋側は、日本列島が乗る北米プレートの下に、太平洋プレートが沈み込んでいます。その北米プレートは年間8〜10センチのスピードで陸側に進み、どんどんプレートの境界線に歪が蓄積される。それが限界に達して境界部分がずれると、大地震となります」(全国紙科学部記者)
これが今回発生した地震のメカニズムだが、今回の地震が巨大化した理由は、震源地が連動したこと。政府の地震調査委員会は「宮城県沖」「三陸沖南部」「福島沖」「茨木沖」の各震源域が連動して巨大地震が発生したと発表した。
「3月11日午後2時46分に発生した今回の地震では、最初に宮城県沖の震源域が崩れ、70秒後にさらに南の震源域が次々に壊れ始めたんです」それによる断層のずれは南北500キロにわたる巨大なもので、そのエネルギーが巨大な揺れと10メートル超の津波を発生させました」この「連動型」の大地震は過去、何度か日本列島を襲っている、その代表が約300年前の宝永大地震(1707年)。その直後に富士山大噴火をもたらしたことでも有名だ。
ところが、それでも地震の強さはM8.6(推定)。「マグニチュードが0.2大きくなると、地震のエネルギーは2倍になります。つまり、同じ連動型の宝永地震と比べても、4倍の巨大地震であることが明らかになりました」(政府の地震予知関係者)
科学ジャーナリストの大宮信光氏は、こう説明する。「今回の巨大地震で発生した大津波の規模は、今から1142年前に起きた貞観地震(869年)の大津波に匹敵すると考えられています」そのとき、古文書によると、仙台平野周辺で1.000人の水死者を出す大津波が発生している。また、産業技術総合研究所によると、その際の震源域(断層の長さ)は、宮城県沖から福島県南部沖までに及んだことも明らかになっている。
「つまり、震源域や津波の大きさも、ほぼ同じ。今回の地震は300年に一度どころか、貞観以来、実に1.000年に一度という巨大エネルギーが放出されたことになるんです」(前出・科学部記者)その巨大エネルギーの放出は、その後の余震の大きさや、余震の終息する期間にも大きく影響する。京都大学の梅田康弘名誉教授が、こう語る。「余震のマグニチュードは、本震に比べてマイナス1と言う数字が過去の経験則によって弾き出されています。今回これだけ大きな地殻変動が起きたわけですから、その余震の強さはもとより、かなり長期間にわたる恐れが出ています」
通常、余震は一週間〜一カ月で終息するといわれているが、梅田名誉教授は、「今回の場合、一カ月以上半年以内の範囲で大規模に余震が続くとみています」と語り、その根拠に、ニュージーランドのクライストチャーチを襲った地震を例に挙げる。その直下型地震M6.3は、2月22日に発生した。日本人留学生らが犠牲になったことは周知のとおりだが、実は、昨年の9月4日、この地震の40キロに市を震源とするM7.0の“本震”が発生している。「つまり、今年2月に起きた地震は、昨年9月に起きた地震の“余震”だったというわけです。
釧路沖と千葉北東沖は危険! しかし、今回の東日本大地震の発生の危険は、実は09年の7月、政府の地震調査委員会で“予測”されていたのだ。「当時の、地震調査委員会は、“今後30年以内に震度6弱以上の強い地震に襲われる都道府県の確立を発表し、なんと、50%以上が24か所と、半数以上に及んでいました」(科学雑誌編集者)
その地震調査委員会の発表直後、本誌はその資料をもとに、47都道府県の地震危険度マップを危険度「A」から「D」まで簡略化して報じた。そして、特に危険度「Aランク」と発表していたのが、今回の巨大地震で甚大な被害を受けた「岩手」「宮城」「福島」だったのだ。「当時、地震調査委員会は宮城県沖で、”30年以内にM7.5以上の地震が発生する確率を、99%と予測した。
また、岩手の三陸沖でも90%、福島東方沖でも高い数字を弾き出していたんですよ」同時に、岩手、宮城の沿岸部はリアス式海岸であるため、「津波の威力を何倍にも増幅しやすい地形だったという警笛を鳴らしていた」のである。さらに、この地震調査委員会の発表に対して「最悪の場合、この危険は震源域が連動する可能性もある、と主張する専門家もいた」
そして、この予測は現実となり、巨大地震は東日本の太平洋岸を襲い、壊滅的な被害をもたらした。では、今後、各地の地震危険度はどう変わっていくのだろうか。まず、琉球大学名誉教授の木村政昭氏が説明する。「今回の震源地となったプレート境界に沿った、北海道釧路沖と南の千葉北東沖は、今回と同じプレート境界型の大きな地震が起こる可能性があります。特に千葉北東沖は、いつ大地震が起きてもおかしくない。早くて数年以内と見ています」
さらに、木村教授は、青森県沖のほか、日本海溝の延長上にある伊豆、小笠原沖を危険地帯にあげ、こう付け加える。「日本海溝では、能登半島沖でも大地震の可能性があります。地震空白区であることに加え、昨年の3月、富山や石川で巨大深海魚のリュウグウツノカイが漂着しています。子も深海魚が発見されると、大地震が起きるといわれています。
日向灘の「地殻」に変動が! ちなみに、今回の巨大地震発生の一週間前、茨城県鹿鴨市の海岸で5頭の小型鯨が打ち上げられた。また、前述のニュージーランドの地震発生の2日前には、南西沖のスチュアート島で、ゴンドウクジラ107頭が打ち上げられている。これらの事象について、大宮市はこういう。「地殻変動に伴う電磁波の発生で、クジラたちが迷った結果だとすれば、地震の予兆と考えられます」
地震の予兆といえば、気になるのが、今年になって活発な噴火活動を続ける新燃岳(九州・霧島)だ。「火山噴火は、地殻変動でマグマ溜まりが圧縮されて起こるもの。そのため日向灘の近くに、何らkの変動が起きていると考えるのが自然です。52年ぶりの新燃岳の噴火は、地震の前兆である可能性があるんです」(木村名誉教授)
さらに、梅田名誉教授は、大都市を襲う直下型地震の危険について、こう語る。「関東や関西の平野部には確認されていない活断層が多く存在しています。特に首都圏では、前回の断層地震(1894年)から100年以上経過しており、いつ何が起きても不思議ではありません」加えて、日本が地震大国である以上、他の地方でも警戒は必要だ。「今回の巨大地震により、その歪みが他の震源域(東海および東南海・南海地震)や活断層に刺激を与え、大地震を誘発する恐れがあります。(大宮氏)
それだけではない。21世紀に入ってから、2004年のスマトラ沖地震(M9.1)や、08年の中国・四川省(M7.9)など、巨大地震は10年に内に集中している。「地震には“激動期”と“静穏期”があり、阪神大震災以降、地球全体が地震の激動期に入ったとする説もあるんです」(大宮氏)
『週刊大衆』
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