加藤のメモ的日記
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熱帯降雨林が地球の陸地に占める割合は6%にすぎないが、少なくとも地球上の生物の半分はここ生息するといわれている。ある学者によると、数百万もの種が、広大な熱帯降雨林地域である、南アメリカのアマゾン盆地、アフリカのコンゴ盆地、東南アジアに存在しているという。この地域に生息している動植物は、科学的な研究が進んでおらず、名前さえついていないものが多い。
さらに熱帯降雨林の大半の野生生物は、樹木の樹冠部分に茂る枝葉に生息していて近づきにくく、未確認の種もたくさん存在している。珍しい新種は絶えず発見されている。2006年、東南アジアのニューギニア島では、熱帯降雨林に覆われた人跡未踏の地域、いわゆるロストワールドに入った遠征隊によって、新種の鳥類1種、数種類のカエル、チョウ、植物など、それまでまったく知られていなかった種が数多く発見された。
「ほとんど人目につくこともない、熱帯降雨林の得体の知れない動植物を、どうしてわざわざ保護しようとするのか」と疑問を呈する人もいるだろう。しかし、現在に至る数百年間を振り返るだけでも、熱帯降雨林に見いだされる豊富な資源が、人類の生存と幸福に多大な恩恵をもたらしているのは事実である。
バナナ、アボガド、カカオといった食料から、キニーネのような医薬品、他にも多数の動植物が医薬品として利用され、ガンをはじめとするさまざまな病気の治療に使われている。ブラジル産パラゴムの木に由来する工業製品まで、熱帯降雨林の多様な生物が人間社会の発展に深い影響を及ぼしているのだ。
熱帯降雨林の秘密について、多くを明らかにしてくれたのは、生活と文化をその環境に依存している先住民で、彼らはしばしば野生生物について深遠な知識を持っている。熱帯降雨林に生息する動植物などは荘厳な真の美しさを持っている。時を超えて大自然が生み出してきたものの多様性、複雑さ、ユニークさには驚嘆せずにはいられない。
『熱帯降雨林の世界』
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