加藤のメモ的日記
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海上保安庁の第一線の航海士・一色正春氏が11月4日、動画サイト、ユーチューブに中国船の衝突映像を流出させた動機は、民主党政権に対する「義憤」だった。「正義は我にあり」というのが、一色氏の偽らざる心境だ。「中国漁船が逃げ惑って、当たっちゃった」ということだ、とか、「ビデオの公開はタイミングを逸している、外交カードとして持っておくのがベストだろう」と中国寄りの発言をしていた民主党議員に、海上保安官は心底呆れていた。
無法行為のこれだけ明白な証拠を前にして、まだ中国を擁護するような発言をする神経が、まったく理解できない。仮にこのビデオがこのまま封印されてしまえば、間違った世論が得形成されたしまう可能性ある。
「外交カードとして使う」という発言に至っては何をかいわんやです。一色さんには、このビデオの扱いを民主党政権に任せてはおけない、という激しい怒りがあった」ある海保OBもこう率直に語る。「はっきり言って、一色君の行動は理解できます。政権は、あまりにも無頓着すぎる。いくら経済的な関係があるからといっても、顔が中国のほうを向いているという印象を受ける」
痔海上保安官たちの怒りは、せっかく逮捕した「無法者」の中国人船長をおめおめと釈放したことに端を発している。その後も民主党政権は中国首脳との会談の道を探ってソデにされたりと、迷走を続け中国政府と密約して「決定的証拠」であるはずのビデオまでオクラ入りにしようとしたという報道もある。
「尖閣のエリアには、周辺に海洋資源があるということがわかって以降、中国漁船が入り込んでくるようになりました。私が警備にあたっていた頃も、中国漁船から卵や石を投げつけられましたし、私の顔のすぐ横にホーガンの矢が飛んで来たこともありました。
相手は一応漁船ですが、乗務員はほとんどが軍人上がりで。今回衝突した船の船員も元軍人で間違いないでしょう」海上保安庁はアメリカの「コーストガード」にならっ設立された組織で、軍隊ではなくあくまで沿岸警備隊という扱いである。しかしその第一線で行われているのは、限りなく戦闘行為に近い危険なミッションである。
「一色氏は名乗り出る直前、地元のテレビ局記者に連絡を取り「職場への不満は何もない」と語っています。記者に渡したメモも、「時の為政者の意向によらず、国民が真実を知ることは大切なことではないでしょうか」とつづっている。流出の舞台となった漫画喫茶は職場のすぐ近くで、露見することは覚悟の行動だったようです。
今回の焦点は、一色氏の行動が本当に罪に問えるのかどうか、である。一色氏自身、「ビデオテープを公開することが何の違反に当たるのか」とメモに書いている。「どこの省庁でも、秘文書指定の区分というものがある。機密、極秘、秘、部外秘、取扱注意と5ランクに分けられている。それを国家行政組織法によって、所轄大臣が決裁する。それを承知することで、はじめて国家公務員の守秘義務の対象になるんです。
今回のビデオは、おそらく秘密文書指定をやっていない。彼自身、「だれでも見ることができた」と言っていたくらいですから。本来は行政罰が先ではないでしょうか。先ず懲戒委員会を開いて、どの程度の違反か審査する。この程度の事なら減給で十分。そもそも国交大臣が間抜けなんですよ。自分のところの職員を守らないでどうするんですか。(佐々淳行氏)一色氏の行動は、一色氏なりの正義感に貫かれている、隣国に嫌われまいと右顧左眄する政権とは、見事なまでに好対照である。
『週刊現代』 sengoku38(仙谷左派)
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