加藤のメモ的日記
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2011年01月16日(日) 呆れた日本年金機構

いまさら断るまでもないが、日本年金機構の前身、社会保険庁時代の本部及び現場の主要ポストは、無責任な幹部連中で占められてきた。彼らの多くは、職務への使命感に欠け、良識に欠け、いかにサボるかといったことのみ情熱を燃やしていたのである。おかげで、年金記録の正確かつ厳密な管理がなされず、今日の大混乱を招くことになった。しかし彼らは、いまだその過去と真摯に向き合っていない。

日本年金機構がスタートして、ちょうど1年経つ。昨年10月からは、民主党政権の目玉政策でもあったコンピューターに収録されている約3億件の記録と、その“元帳”ともいうべき約7億2000万件の紙台帳記録との突き合わせが始まった。これは本人では把握のしようのない記録の漏れや誤りを日本年金機構で洗いだし、その訂正をはかっていくものだ。作業には約2000億円の税金が投入されるなど、多大な国民負担のもとに実施される。

本格作業を前に実施されたサンプル調査では、これまで予想もしなかった深刻な記録問題が潜在していることも明らかになった。そんな憂慮すべき事態を前にしても、社保庁から日本年金機構に横滑りした幹部連中や、やる気のない理事たちは十分な対策を打たず、相変わらず涼しい顔を決め込んでいる。

いったい何が起こっているのか。突き合わせの結果、今まで記録がないとされ、無年金になっていた人たちの記録が発見されているのである。例えば大阪府貝塚市在中の男性(52才)の場合、これまで存在しないとされてきた11年分以上もの年金記録が見つかっているのである。

この男性は、年金の受給資格を得るための25年の加入期間を満たしていないとして年金が支給されていない。しかし今回、新たに見つかった記録を統合すれば、あと8カ月分の保険料を追加納付すれば受給資格が得られる。結果、毎年86万円の年金が受給できるようになったのである。ところが法律で保険料の納付が認められている70歳の年齢制限を超えているからだという。

自分たちのいい加減な記録管理で、このような事態を生みだしておきながら、そのミスを棚に上げ、一方で法律を盾に被害者の救済に消極的なのは、いくらなんでもひどすぎる。今後突き合わせを進めていけば、同様のケースが多数浮かび上がってくる可能性は高い。それもまた、救済しないで放置するというのでは、それこそ年金制度への信頼を失わせ、制度を崩壊に導くのに等しい。

このような悪しき業務姿勢や理不尽な法律解釈は、早急に改めるべきだが、それすらできないのが、日本年金機構の実態でもある。未来永劫、日本年金機構の職場風土は改善されないといっても過言ではない。機構に自浄能力がない以上、国民の批判力でもって彼らを厳しく追及していかなければならない。



『週刊現代』


加藤  |MAIL