加藤のメモ的日記
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| 2011年01月09日(日) |
「カティンの森」の教訓 |
中国はインド洋の沿岸国に港湾施設を作る「真珠の釘飾り」戦略でインドを締め上げようとしています。真珠の首飾り作戦が奏功して、インドが危機に陥れば、インド洋の航行の自由が危うくなります。世界的な視野で見た場合、この状況は民主主義勢力側の後退を意味します。一党独裁の全体主義国家が優位に立ち、その価値観が世界を覆うことになれば、人類は悪夢の時代を迎えることになるのです。
日本の北方領土を不法占拠しているロシアもまた、形の上では民主主義の体裁はとっていますが、実態は強力な軍事・警察権力に裏打ちされた独裁国家です。かって東西冷戦の一方の雄だったロシアにとって、中国の後塵を拝する現状は極めて屈辱的なものでしょう。最新鋭の潜水艦や戦闘機など優れた軍事技術は依然として持っていますが、規模の面では軍事的にも経済的にも米国と中国に遠く及ばず、政治力はかっての旧ソ連時代とは比ぶべくもありません。
北方領土はロシアが戦後のドサクサに紛れて、日本から盗み取ったものです。日本はポツダム宣言を受け入れて1945年8月15日に降伏し、平和武装解除に無条件に応じました。そこで戦闘を終えなければならないにもかかわらず、ソ連は米軍がいないことを確認しながら南下をつづけ、8月18日、初めて北方領土に軍事侵攻しました。北方領土を占領し終えたのは9月5日でした。
日本その3日前の9月2日、東京湾に浮かぶミズーリ号の艦上で降伏文書に署名しました。つまり、戦争も降伏の儀式も終わった時点でもなお、ロシアは軍事侵攻をを続けていたのです。その間、北方4党に住んでいた日本人は殺され、強姦され、島を追い出されました。にもかかわらず、ロシアは恥じることもなく、9月2日を「戦勝記念日」としてして制定したのです。
日本はまずこのことに猛然と抗議し、いかにソ連が国際法を無視した野蛮な行為で北方領土を不法占拠したか、ことあるごとに国際社会に訴えていかなければなりません。
ポーランドは、スターリンの時代に1万数千人のポーランド将校が殺害された「カティンの森事件」について、どんな国際会議でも必ず、ソ連、ロシアの責任を追及し続けました。民間でも『カティンの森』という映画を製作しました。ソ連、ロシアは一貫して「捏造だ」と主張し続けていましたが、ついに昨年4月、ソ連に責任を認めたのです。日本も腰をすえて、ロシアの不法行為をしつこいほど国際社会に訴え続け、北方領土が返還をことあるごとに求め続けなければなりません。
こうした国際情報戦を何年何十年とくり返し、積み上げていくことが重要です。鳩山前首相が政権についたとき、「半年で領土問題を解決してみせる」などと述べましたが、そんな甘い認識が、ロシアの大統領に北方領土上陸を許すことのなったことを、民主政権は猛省すべきです。
中国が嘘を平気でつき、恥じない国であることは尖閣諸島領海侵犯事件でも明らかです。中国は日本の巡視船が中国の領海に侵入して中国漁船に衝突してきたと主張し、イラストまで使ってこの情報を流しました。衝突ビデオが流出した後も、「たとえビデオを公開しても、真実は曲げられない」と開き直ったのには、もはや言うべき言葉ありません。中国の嘘や謀略に対し、日本は正しい情報、真実の情報を訴えることで徹底的に戦っていかなければなりません。
歴史問題でも同様で、中国は南京大虐殺を国際社会で宣伝し続けてきました。日本は反論もせず、黙って見逃してきましたが、立命館大学教授・北村稔氏をはじめ、幾多の研究などから大虐殺が中国の捏造であることは明らかです。また、中国は日本が教科書に事実を書くとクレームをつけ、圧力をかけますが、日本は逆に中国の歴史的事実にことごとく反する反日教育、歴史の“捏造”にしつこいほど抗議を続けなければなりません。
中国は世論戦、法律戦、心理戦の三つの戦いを挑んできます。世論戦で国際世論。日本の国内世論を操作し、法律戦ではすでに92年に領海法制定し、尖閣諸島は中国領土だと宣言しました。さらに圧倒的な軍事力を背景に、戦う気力を失わせ、屈服させるのが心理戦です。この戦いに敗れれば、その後に待っているのは悪夢の世界です。私たちは自由や人権、民主主義などの大切な価値観を旗印として掲げ、中国的手法と彼らの価値観を阻止していかなければならないのです。
『週刊ポスト』
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