加藤のメモ的日記
DiaryINDEXpastwill


2010年11月02日(火) 海兵隊グアム移転

北朝鮮の核開発が進み、中国が軍事力をどんどん拡大し続ける中で、普天間飛行場の移設なしには米海兵隊は沖縄を去ることはできない。北朝鮮や中国の脅威は単に日本だけの問題ではない。韓国、シンガポール、オーストラリアなど他の同盟国の安全保障にかかわる問題でもあるのだ。

特にオーストラリア、シンガポール、インドネシア、ベトナムなどは軍備増強を続ける中国に対する懸念を強めている。普天間飛行場の代替基地をつくらないまま8000人の海兵隊をグアムに移転すれば、米軍は今の軍事力を維持できなくなる。米国にはそのようなリスクをおかす軍事的・政治的な余裕はない。この点をよく理解していない日本人が少なくないようだ。

例えば北朝鮮や台湾などで全面戦争が起こった場合、沖縄の海兵隊の役割は陸軍、空軍、海軍などよりは比較的小さい。航空母艦やミサイルなどを使って攻撃するわけではないからだ。しかし、その他の面で海兵隊は非常に重要な役割を果たす。

海兵隊は陸軍や海軍とは異なり、どんな危険な状況、場所にも48時間以内に出動でき、2〜3ヶ月間の戦闘に必要な物資を自給できる。そして陸海空軍の機能を発揮しながら、安全で安定した場所、避難先を作ることができる。つまりさまざまな緊急事態に対応する”110番”のような役割だが、これができるのは海兵隊だけである。

陸軍部隊は大きすぎてこのような役割を果たすことはできない。安全保障を強化するには大規模な軍事力を備えるだけでは十分ではなく、さまざまな状況に対応できる海兵隊が必要なのである。特に東アジアは地理的に広く、潜在的な不安定地域から海上通路に至るまでさまざまな問題を抱えている。

このような地域で異常事態が発生した場合、柔軟に対応できる海兵隊の役割は非常に重要となる。その力を低下させることは抑止力の点でも大きなマイナスとなり、米国の同盟国や潜在敵国に対して誤ったシグナルを送ることになろう。

日本のメディアがこの海兵隊の役割についてあまり報じていないのは非常に残念である。だから「8000人の海兵隊をグアム移転すれば、普天間飛行場を移設させなくても問題ないだろう」と考える人が少なくないのではないか。



『潮』


加藤  |MAIL