加藤のメモ的日記
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国際テロ組織アルカイダがニューヨークの高層ビルなどをテロ攻撃した「9.11」事件。米国は「これは戦争だ」と憎悪をあおり、01年10月、アルカイダをかくまっていたとしてアフガン・タリバン政権を打倒する報復戦争を始めました。03年3月には、アルカイダや9.11テロと無関係のイラク・フセイン政権に対し、核兵器などの大量破壊兵器を開発しているとの口実で先制攻撃戦争を仕掛けました。
9.11から9年。イラク戦争を批判して就任したオバマ大統領のもと、イラク駐留米軍は「戦闘任務は終了した」として、5万人の部隊を残して「撤退」しました。7年余の戦争によりイラクでは民間人11万人以上が死亡。200万人近くが難民化し、開戦以来の国内避難民は270万人に達しています。
米国はイラク駐留部隊を減らす一方、今度はアフガンに増派。米軍10万人など14万人近い外国部隊が駐留しています。「来年7月撤兵開始」を掲げますが、情勢安定化の見通しはありません。アフガン戦争は9年も続き、数万人の民間人と2千人以上の外国兵が死亡。300万人が難民に、33万人が国内避難民になっています。
この結果テロは減ったでしょうか。米国務省の集計でも、米軍が戦闘を強めるとかえってテロは増えました。特にアフガンでは急増。過去5年間の全世界のテロ件数も死者数は減っていません。結果として起こったのは戦争と暴力の悪循環でした。そのもとで、軍事力でなく外交の力で物事を解決しようという自主的な流れが世界で強まっています。
イラクに派兵した英国やオランダでは戦争の検証が行われています。天井知らずの軍事費増が経済危機を招いた米国でも戦争政策の行き詰まりを見直す議論が始まっています。オバマ大統領は8月31日の「イラク撤退」演説で、「最も緊急の任務は、経済を回復し、失職した数100万の国民を仕事につけることだ」と語りました。外交問題評議会のハース会長は、こんな疑問を投げかけました。
「経済回復が最優先だと大統領はいうが、アフガンで年間1.000億ドル以上も使いながら、財政基盤の回復と世界の指導的国家としての地位の確保が両立できるのか」他方、日本は9.11以後、世界でも異常な対米追従姿勢で米国の戦争政策を支持してきました。大きく変化した世界の流れに逆行したままです。
アフガン戦争9年の教訓は、アフガンは軍事力では支配できないということに尽きます。9年経って10万人の米軍をもってしても治安は最悪。この事実がアフガン戦争の失敗を決定的に示しています。
『赤旗』
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