加藤のメモ的日記
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第二次世界大戦中にコベントリーの悲劇といわれる出来事があった。大戦末期、ドイツはイギリスのコベントリーという町にV2ロケットの照準を合わせた。その情報をドイツのSS内部深く潜入していたイギリスのスパイがキャッチした。彼の通信を受け取ったM16(イギリス情報部)の長官は真夜中にチャーチルに連絡を取る。
もちろんチャーチルは人々を避難させようとした。しかしM16の長官は彼にこう言った。「あなたはコベントリーの町の何千人の人々を助けるかもしれない。しかし私たちの重要なエージェントは発見され、殺されるだろう」と。
この情報は、ナチ内部のスパイをあぶり出すためのオトリ情報でもあったのだ。事前に町の人々が避難すれば、SS内部にいるスパイの存在がドイツ軍に知れ、彼は処刑されてしまう。その結果、将来数万、数十万の生命が失われ、ナチズムの息の根を止めるチャンスを失うことになる。
大事なスパイかコベントリーの住民か…。チャーチルは一晩中考え抜き、男泣きに泣きながらコベントリーの町を見放した。そして3000人の人間が死んだ。だが生き残ったスパイの存在によってノルマンディー上陸は無事果たされ、ナチスを叩き潰すことができたのである。
一つの世界がリーダーの冷徹な決断によって助かったのだ。しかしながら、それを決断するリーダーのつらさは常人には想像できまい。だが、リーダーとは、それに耐えねばならないのだ。
『そしてわが祖国』
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