加藤のメモ的日記
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| 2010年07月24日(土) |
韓国軍艦「天安」沈没の深層 |
3月26日、韓国と北朝鮮の海上の境界線ペンニョン島の近くで、韓国の大型哨戒鑑の「天安」が爆発・沈没した事件は、発生から1カ月以上が過ぎても、水没原因が確定していない。誰が魚雷や機雷を撃ったり敷設したりしたかは謎のままだ。韓国の右派勢力は、北朝鮮の潜水艦が魚雷を撃ったと主張し、韓国政府に「北を報復攻撃せよ」と求めている。
ペンニョン島の周辺は、北朝鮮軍と韓国軍が対峙する海域だ。天安は哨戒艦であり、レーダーやソナーを使って、敵の潜水艦や魚雷などを感知し攻撃するのが任務だ。しかも当日は、米韓合同軍事演習が行われており、天安艦内のソナー担当者が注意を怠ったとは考えにくい。
天安沈没の謎は解けないままだが、この事件をめぐっては、日本でほとんど報じられていない「もう一つの沈没」が起きている。天安艦の沈没現場の近くの海域に、米軍の潜水艦とおぼしき巨大な物体が沈没しており、韓国軍の潜水隊などが捜索にあたり、米軍のヘリコプターが米兵の遺体と見られる物体を運び去る映像を、韓国のKBSテレビが4月7日報じている。
韓国や米国の当局は、天安艦と同じ時間帯に、すぐ近くで米軍潜水艦が沈没したことを、ひた隠しにしている。海底から引き揚げられた遺体らしき物体をつり上げて、運び去ったのは韓国軍のヘリコプターではなく、米軍のシーホーク、ヘリだった。このことから、第3ブイの海底に沈没したのは、韓国軍の艦船ではなく米軍の潜水艦だと感じられる。
第3ブイの存在を報じたKBSは誤報扱いされ、その後は「天安艦は米潜水艦から誤爆された」といった見方自体が「危険な流言飛語」と見なされ、韓国社会で事実上の「禁止」とされた。
軍事演習は3月18日に終わったはずだったが、実際の演習は4月30日まで秘密裏に延長され、3月26日の事件当日も演習が行われていた。事件後も米韓当局は、当日に合同演習が行われていたことを全く発表しなかったが、事件翌日には情報がマスコミに漏洩し「天安艦は、軍事演習中の誤爆を受けて沈没したのではないか」という記事を各紙が報じた。
韓国の軍事問題の小説家ソ・ヒョンオは、沈没した米潜水艦について、ヨントウリム岩の前の海を拠点としてペンニョン島の周辺海域で潜航を続け、島の対岸にある北朝鮮の通信を傍受しつつ、有事の際に北朝鮮にミサイルを撃ち込める臨戦態勢をとっていたのではないかと分析している。
この種の作戦に使われる潜水艦は、間違いなく1カ月以上潜航したままでいられる原子力潜水艦だ。原潜は、艦内の原子炉で発電した豊富な電力を使って、海水を電気分解して酸素を抽出して艦内に供給する。海上に出る必要が全くない。米軍の原潜の中には、核ミサイルを搭載できるものも多い。核武装していると自称する北朝鮮に対抗するため、米軍が核兵器を搭載した原潜を、平城に最も近いペンニョン島の周辺に常時潜航させていた可能性がある。
北朝鮮側は、米韓が合同演習を口実に北上し、北の核施設に向けて本物の攻撃を仕掛けてくることを恐れていた。軍事演習しているふりをして本当の戦争を仕掛けるのは、米軍の戦術としてあり得ることだ。そんなところに北側からの攻撃を仕掛けるのは、米韓に戦争の大義を与えてしまう自殺行為である。
北側からの攻撃で沈没したのではないなら、残るは誤爆説になる。私が疑っているのは米軍は、潜水艦をペンニョン島の周辺に常時、長期潜航させていることを、韓国軍に伝えていなかったのではないかということだ。第3ブイに沈んでいる米潜水艦が長期潜航していたのなら、当日の米韓合同演習にも参加していなかったことになる。
天安艦は、ペンニョン島の南の沖合を航行するはずが、予定より岸に近づき、その結果韓国軍に存在を知らされていない米潜水艦の存在を探知し、北朝鮮の潜水艦が潜入していると勘違いして発砲し、攻撃されたので米潜水艦も瞬時に撃ち返し、2隻とも沈没するという誤認の末の同士討ちが行われたのではないか。
天安艦の沈没後、米韓が「北から攻撃された」「反撃する」と宣言していたら事態は本当の戦争になっていただろう。天安艦事件を機に、朝鮮半島で戦争が再発していたら、在日米軍の駐留が続くようになり、米国では再び日本を不沈空母と評価してくれて、日本経済は60年ぶりの「朝鮮特需」で潤い、日本の対米従属派にとってはうれしい限りだった。
しかし米中枢での暗闘では、米英中心主義より、中国重視のほうが強いようで、天安艦沈没事件は朝鮮戦争の再発にはつながらなかった。韓国民の多くはすでに、天安艦事件に関する政府の発表を信用できなくなり何か裏があると感じている。米国では911事件の真相がなかなか事実としてみなされないが、韓国では、ペンニョン島の第3ブイの下に米潜水艦が沈んでいることが、今後いずれかの時点で「陰謀論」から「事実」に変わるかもしれない。
田中 宇
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