加藤のメモ的日記
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「がんになったことで、僕ははからずも自分の人生をリセットできました。やっていることは以前と変わりませんが、走ることの楽しさや醍醐味をもう一度、真っ白な状態から見直していきたいと思っています。」金氏は、このほど長く封印してきたガン病棟体験を赤裸々に記した著書「走る意味」を上梓した。なぜ、彼はひた隠しにしてきた自らの病を公表する気になったのだろうか。
「先ほどお話しした通り、がんになる前の僕は、病気になることは人生の負けだと思っていました。でも、術後はそれは負けではないと考えるようになった。ガンになって、ぼくは逆に自分を取り戻すことができたんです。だからこそ、同じ病気で苦しみ、悩んでいる人たちに自分のがん体験を正直に伝えることで、勇気を与えらえるのではと思ったのです。もちろん、僕自身、再発の不安がないわけではありませんし、気持ちが沈む時もある、しかし、僕は限られた命を日々精一杯生き、今後もランニングが文化として根付くための努力をしていきたい」
草の根の努力は実を結びつつある。その成果の一つ、「東京マラソン」が今年も2月28日に行なわれる。金氏の教え子の多くも東京も街を楽しげに駆け抜ける。金氏は言う。
「3万5000人の中には、がん闘病の経歴がある人も、他の持病がある人も数多くいます。人間ドッグでどこも悪くない、健康体だといわれた人だけにマラソンを走る資格があるのではありません。僕のような〈病気持ちのマラソンランナーは、いわば、病気だけど健康でもある〉というような存在でしょう。市民ランナーはそれでもいいのだと、ガンは僕に教えてくれたのです」
マラソンコーチ 金哲彦
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