加藤のメモ的日記
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| 2010年02月27日(土) |
検診を受ける神経細胞 |
脳はどうやって自分の”傷”を見つけるのか?
生理学研究所の鍋倉教授は、傷ついた神経細胞が修復されるときの仕組みについても研究を行なう。脳梗塞などへの有効な治療法にもつながる研究だ。生きている動物の脳の中で神経細胞の”検診”が行なわれる様子が、世界ではじめて観察された。
事故や病気によって脳の一部が傷つくと運動機能などが傷つくが、リハビリによってある程度まで回復することがある。この状況は子供の脳が発達し、新しい動きを覚えていく過程とよく似ている。鍋倉教授によると、神経回路が再編成される仕組みも共通しているのだという。ただし修復過程では、発達過程と大きく異なる点がある。
修復するためには、機能不全になった神経細胞を何らかの方法を見つけ出す必要があるのだ。脳には「ミトコンドリア細胞」と言うグリア細胞の一種がある。この細胞は傷ついた細胞の周辺で多く見られるため、傷の修復に関わっていると考えられてきた。ところが、実際脳の中でどのように働いているかは不明だった。
「細胞の機能を確認したければ、生きている動物の脳を直接のぞいて確認するのが一番です」と鍋倉教授は語る。近年誰もが望みながら不可能だったこの方法を可能にする技術が登場した。それは「2光子レーザー顕微鏡」という特殊な顕微鏡だ。鍋倉教授らはこの顕微鏡を使い、マウスの脳内でミクログリア細胞が活動するようすをとらえることに、世界ではじめて成功した。
まずは、とくに障害が起きていない正常な細胞を観察してみると、1時間のうち約5分間、シナプスにみずから突起を伸ばして接触していた。これは、シナプスの機能が正常かどうかを、ミクログリアが検診しているところだと考えられた。さらに、血流を止めるなどして神経細胞に障害を起こしてから観察して見ると、ミクログリアは1時間以上にわたり、じっくりとシナプスに検診を行なっていた。
「ミクログリアの活動を利用すれば、障害を起こした脳の修復を早める可能性がある」(鍋倉教授)といわれており、治療への応用も期待されている。
”検診”するミクログリア
マウスの脳内でミクログリア細胞の突起が伸びて神経細胞のシナプスをおおい、正しく機能しているかどうかを検診している様子をとらえた顕微鏡画像である。シナプスの検診は、とくに神経細胞に異常がみられない時でも定期的に行なわれている。障害がおきた神経細胞では、とくに長時間の検診が行なわれる。
そして検診結果が悪かったためなのか、検診後にシナプスがなくなっている様子もしばしば観察された。この検診の時、具体的に何がチェックされているのか、また、検診結果がどこに伝えられ、どのような仕組みでシナプスが除去されているのか、などはまだわかっていない。
ニュートン
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